巨人のセ・リーグ連覇、13年ぶりとなる日本一奪回のカギはベテランの復権にもありそうだ。本紙専属評論家の伊原春樹氏は復活を目指す坂本勇人内野手(36)に直接ハッパをかけ、夢の3000安打達成への道のり、データ重視の現代野球との向き合い方まで鋭く切り込んだ。

【新鬼の手帳・伊原春樹】巨人打線にとって昨季からプラスアルファとなるのは、坂本の復活だろう。私が坂本に会った時、必ず言うセリフが「3000本打てよ」だ。沖縄キャンプでも顔を合わせたが、彼はこれまで通り「分かりました」と強くうなずいていた。

 昨季の成績はまさかの打率2割3分8厘で94安打。だが、3000安打まであと585安打で、実力さえ発揮できれば決して届かない数字ではない。

 坂本の練習中に気になったのが何度もタブレットに目を向けていたこと。全球団に「データ班」が定着し、1球ごとに打球角度や打球速度を瞬時に確認できるようになった。利点もあるものの、現場のコーチは「数字はあくまでも数字。実際にボールがどう飛んだかの方が大事」との意見だった。

 私も全く同じ考えだ。その部分を改めて坂本に聞くと「一応、数値として見ますけど、あまり気にはしてません」と淡々としていた。私もプロ19年目でブレる必要はまったくないと思う。

 坂本が巨人に入団した2007年、私はヘッドコーチだった。その背番号6に今回伝えたのが「そろそろ〝逆算〟してもいいのでは?」ということ。1シーズンで117本を打てば、5年間で大台に乗る。遠い先の3000より今季の〝ノルマ〟を減らすことに切り替えた方がいい。

 もちろんレギュラーで出続けることが必要だが、阿部監督も日本一奪回にベテランの力を頼りにしている。「リーグ優勝おめでとう」と声を掛けると「ありがとうございます」と応じてくれたが、すぐに「ただ終わり方が…」とCSファイナル敗戦を猛省していた。

 今季の構想は1番に「やっぱり丸ですね。得点圏打率は低いけど出塁率が高いので」と指名し、坂本の復活も十分に計算に入れている様子だった。阿部監督を男にできるか、見守っていきたいと思う。

(本紙専属評論家)