【米国フロリダ州サラソタ15日(日本時間16日)発】ビザ取得のため渡米が遅れていたオリオールズの菅野智之投手(35)が春季キャンプ3日目にようやくチームに合流し、別メニューで最長50メートルのキャッチボールを行うなど、軽めの調整で心地よさそうな汗を流した。

 乗り継ぎありの長時間フライトの末、現地入りしたのが前日の夕方。昨夜は「寝たんだか寝てないんだか分からない。寝て起きて、寝て起きてみたいな感じだったので、眠いっす」と茶目っ気たっぷりに語った菅野。メジャーリーガーとして新たなスタートを切る記念すべき「初日」は、首脳陣から「自由に動いていいよって最初から言われていたので」、時差ボケの中でチーム練習に加わるのではなく、プロ13年目のベテランらしく、敢えてユニホームも着ずに別メニューでスタートさせた。

 早朝から上空を覆っていた分厚い雲が小さくなり、晴れ間が広がり始めていた午前10時過ぎ。ウォームアップ用のフィールドにいたブランドン・ハイド監督はクラブハウスから出てきたばかりの菅野を見つけると、フィールドで、チーム練習を始めようとしていた選手、コーチたちの円陣の中に手招きした。そしてあいさつをするよう促された菅野は、想定外の状況だったにも関わらず日本語で「チャンピオンシップで勝ちましょう」と短い一言を述べ、それを通訳が訳すと「おーっ」と大きな拍手が起こった。

オリオールズは2年連続でプレーオフに出場しているが、いずれも地区シリーズで敗退。「最初にオリオールズと面談した時、ワールドチャンピオンになることが目標だと言っていたので、僕はそのひとつの目標でこっちに来たので」と熱く語った菅野の意気込みはいきなりチーム内に強烈なインパクトをもたらすことになった。

 メジャーではいくつかの適応が求められるが、菅野は「ボールの心配だったり、マウンドの心配は特にしていない」。また、5人の投手による先発ローテーションについては「日本でも中5日、中4日って経験しているし、そういう環境面も含めて全て受け入れる覚悟でここまで来ているので、特に問題とは思っていない」と力強く語った。

 菅野はこの日、黒のチームTシャツに黒の短パンでストレッチ、キャッチボール、ランニングメニューをこなしたため、「この上ない番号だと思う」という背番号19のユニホーム姿は明日以降に持ち越しに。番号決定の経緯については「ちょうど19番が空いているってことだったので、最初にリクエストをさせてもらった。上原さんへの憧れもあったし、いろんなものを含めていい背番号をもらえたなと思う」と、日焼けした35歳の右腕は両頬に大きなえくぼを作り、少年のような笑顔を見せた。

 2009年、オリオールズで19番をつけてメジャーデビューを果たした上原浩治氏(49)は奇しくもオリオールズのキャンプ地近郊に住居を構えている。菅野は「そのうち来るっておっしゃっていたので、そこで色々と話を聞けたらいい」と再会を心待ちにしている様子だった。