【球界こぼれ話】先週、メジャー開幕シリーズ取材のため韓国・ソウルを訪れた。同国訪問は2009年以来、実に15年ぶりとあって「どのぐらい街は変わっているのか」。そんな期待と不安を抱きながらの渡韓だったが、現地に到着すると市内中心部の街並みは想像以上の変貌を遂げていた。

 露天商や屋台が幅を利かせていた繁華街にはコスメショップやおしゃれな飲食店が乱立。若者と旅行者が一帯を席巻していた。公共交通機関も15年前とは大きく異なり、市内を網羅する市バスなどは今や大半がEV(電気車両)でキャッシュレス。現金を受け付けないバスもあるなど月日の流れを痛感させられた。

 もっとも、そんな変貌著しい韓国で“変わっていない一面”もあった。地元メディアの取材ぶりだ。

 日本におけるスポーツ選手への取材は現在「選手ファースト」が基本。特にプロ野球界はその傾向が強く、報道陣より選手の意向や都合が優先されることが多い。選手から「後でいいですか」と言われれば報道陣は待機。「話したくない」という空気を察知すれば無理にコメントを取ることもない。

 韓国はその様相が異なる。伝統的にメディアが選手より強い立場にあるためか、取材の主導権は報道陣が握る。今回のメジャー開幕シリーズでもその様子は垣間見え、自国出身のパドレス・金河成(キム・ハソン)に対し地元メディアは連日積極的に声掛けを敢行。試合前、試合後を問わず時間の許す限り果敢に接触を試みていた。有名人や元韓国人メジャー選手らがグラウンドに現れた際も、ちゅうちょすることなくその場で取材を開始。もみくちゃになりながらコメント取りに励む姿があった。

 時代の変遷に左右されないこうした報道陣の姿勢。日本球界では、もはや皆無なだけに現地で知り合った韓国人記者にその思いを聞いてみると「日本の報道陣も以前はもっと積極的だったはず。今はおとなし過ぎると思いますよ。もっと(選手に)アタックしてもいいんじゃないですか」。

 見習うべきかはさておき、この強気な言動。改めて日本と韓国の違いを実感した瞬間だった。