ドジャース・大谷翔平投手(29)の元通訳・水原一平氏(39)の違法賭博疑惑を巡る一連の動きは、米メディアESPNの圧倒的な「調査報道」で明らかになった。22日(日本時間23日)にESPNは、水原氏への90分間にわたる電話インタビューを敢行したティーシャ・トンプソン記者の署名記事を新たに掲載。今も混乱を招き続けている水原氏の「証言撤回」に至るまでの詳細な全記録が綴られている。
迫真性に富んだ記事では、水原氏への取材の間を取り持った広報担当者とのやり取りが克明に記され、同氏の撤回前の証言が生々しく伝えられた。取材の流れを時系列で報じた記事では、大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏にコンタクトを取った際の同氏の反応を紹介。当初のスクープ内容である大谷の口座から違法なブックメーカーへの電子送金について、バレロ氏が水原氏と直接接触して確認した際に「(水原氏自身が)真実だ」と語り、大谷が水原氏の借金を50万ドル(約7500万円)ずつ返済したとバレロ氏に明かした内容を広報担当者が確認したことが書かれている。さらに、広報担当者が「(大谷が)『私は何度か多額の送金をした。それが私が送金できる最大額だ』と話した」と伝えられたことも記されている。
90分に及ぶ水原氏のインタビューの中身についても、これまで公にされなかった話が掲載された。その中で「借金が2023年初頭までに400万ドル(約6億円)に膨れ上がり、その時から大谷に助けを求めたこと」「大谷からの信頼を失うことを水原氏が気にかけていたこと」「大谷に打ち明けた際に『明らかに彼はそれに満足していませんでしたが、私を助けると言ってくれました』(水原氏)という反応」を詳述した。また、その際に借金の返済先が違法なブックメーカーである認識が水原氏自身になく、大谷もその確認をすることがなかったことも併記した。
トンプソン記者が水原氏に電話インタビューを行ったのは19日(日本時間20日の午前11時30分)。この時点で水原氏は「妻は今に至るまで、このことについて何も知りませんでした」とも明かしたという。
ただ、ここから事態は急変。詳細に語られたインタビューの内容は不可解な形で撤回され、トンプソン記者はやり取りをしてきた広報担当者から記事の公表を差し控えるよう求められたという。何らかの力が働いたかのような急展開が垣間見られ、その後、水原氏は大谷の弁護士から「巨額窃盗の疑い」で告発され、球団から解雇された。直後にESPNは水原氏に電話で再び確認。そこで水原氏はインタビューでウソをついたとし、発言内容を撤回したという。
謎が深まる経緯が克明に綴られた記事が公表された意義は大きい。当事者の説明責任が成されなければ腑に落ちない点が多いのは確かだ。MLB機構もこの日「MLBは大谷翔平と水原一平の疑惑を報道で知って以来、情報収集に努めている。本日未明、我々の調査局(DOI)はこの件に関する正式な調査を開始した」との声明を発表。今後も過熱するであろう調査報道を含め、連邦捜査当局の捜査の進展にも注目が集まる。












