「2023年度プロレス大賞」で年間最高試合賞(ベストバウト)を獲得したのが、米WWEスーパースターの中邑真輔(43)だ。23年1月1日のノア日本武道館大会で行われたグレート・ムタとの奇跡の一戦で、海外団体所属選手としては異例の受賞を果たした。16年から世界最大団体で活躍する日本人レスラーのパイオニアが描く今後の野望は? そして新日本プロレスを離れ、米国マット進出が確実視されるオカダ・カズチカ(36)への思いとは――。

名勝負となったムタ戦(2023年1月1日)
名勝負となったムタ戦(2023年1月1日)

 ――9年ぶり3度目のベストバウト受賞だ

 中邑 自分のキャリアの中でも一つの金字塔、本当に心に残る試合になったことは間違いないです。ありがたいですし、胸を張れる試合だと思ってます。ここまで全てが神の采配によってお膳立てされて、美しい形で完成させることができた。本当にうれしいですね。

 ――今年の目標は

 中邑 やみくもに「ただ頑張ればいい」という世界ではないので。シンプルですけど、一つひとつの所作だったり、細部に自分の魂を宿すというか、そういうものを心がけていきたい。もちろん一番大きなベルト(WWEユニバーサル王座&世界ヘビー級王座)を狙っていきます。まずは自分のグレード、コンディションを落とさずに、今だからできる形でレベルアップしていきたいなと思います。

 ――古巣の新日本ではCHAOSの後輩・オカダが1月末で退団した

 中邑 自分の人生をどうとらえて、自分が何者か、どうなりたいのか。その決断は自分にしかできないので、オカダの取った一歩踏み出す勇気…なんて言うと(アントニオ)猪木さんみたいですけど、踏み出したからには、あとは進むしかないから。それはもちろん応援するし、僕にできることがあったら何でもしてあげたいなと。

 ――オカダの新たな挑戦は、自身にも刺激になるのでは

 中邑 それもあるし、目には見えない手続きだとか。僕が負ってきた、本来は負わなくていい苦労もいっぱいあったので。そういうことは味わわせたくないし、甘えてきてほしいなと思いますね。

 ――助言できる部分も

 中邑 僕は(米国に)根を張って生きるという形で覚悟決めて来てますから。ある種、開拓しなければいけないこともあったし。仕事においても私生活においても。でも、無駄なこともたくさんしてきたわけです。失敗もしたし。いまだにそういう、ババ引いちゃうところありますけど(笑い)。

 ――パイオニアならではの苦労があった

 中邑 だからどこに所属するにしても、そういういらない苦労は省いてあげたいなと思います。

新日時代、CHAOSで同志だった中邑(左)とオカダ(2013年)
新日時代、CHAOSで同志だった中邑(左)とオカダ(2013年)

 ――新日本では棚橋弘至社長も誕生した

 中邑 期待? むちゃくちゃありますよ。棚橋さんの、プロレスに力を注ぐステージが一段も二段も上がったということになると思います。俺はまだまだプレーヤーとして時代に求められたいな、とは思ってますけどね。でも、それもいつどうなるか分からないから。

 ――日米ともにプロレス界で大きな変化が起きている感がある

 中邑 WWEでも親会社が(TKOグループ・ホールディングスに)変わったり、ザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)が取締役に入ったり、(米動画配信大手)ネットフリックスが10年の契約をしたのも、非常に大きな変化ですよね。いろいろなものが変わるし、また大きな波が来るんだなと思ってますね。

 ――新日本の菅林直樹会長が「棚橋の引退試合の相手よろしく」と電話したエピソードも冗談まじりに明かされていたが

 中邑 それは何とも分からないし、想像もつかない。そんなことになればすごいなと思いますけど。ただ今のこの時代、何が起こるか分からない、予想だにしなかったことが起きる世の中になってるわけだから。どういうふうに俺たちは時代という見えない力に振り回されるんだろう、どうあらがって生きていくんだろうなっていう…と、国際電話の取材だけど遠くを見つめていたって書いておいてください(笑い)。

 ――最後に日本のファンにメッセージを

 中邑 日本からの応援は頑張る糧に、本当に力になるのでありがとうございます。一歩ずつでも前に進んで、また新しい中邑真輔を見せ続けれるように頑張ります。イヤァオ!