【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#549】UMAといえば、森林や山中で目撃される獣人といったもの、恐竜の生き残りといったものなど、哺乳類や爬虫類といった動物的なイメージを思い浮かべる場合がほとんどだろう。しかし、一般にUMAは「未確認生物」と称されるよう、その対象は植物も含むこととなる。

 ハエトリグサやオジギソウなどの植物らしからぬ動きに奇妙な感情を抱いた人は多いことだろう。実際に、そのような不可解な植物の報告が、世界では報告されているのである。

 中南米の熱帯雨林に自生するソクラテア・エクソリザは高さ25メートル、茎の直径は最大で16センチメートルに成長するヤシの仲間で、高床式と呼ばれるほど地表へ伸びた、まるでタコの足のようにも見える特殊な根を有している。なんとこの植物は、「歩くヤシ(ウオーキング・パーム)」という別名で呼ばれているのである。

 1980年、人類学者のジョン・H・ポドリーとフォーリー・C・ベンソンがこの植物に対して、「歩くことができる」と提唱したという。ただし、映画「ロード・オブ・ザリング」に登場する、木の枝や根がそのまま手足となって動いているような姿をしているエントとは違い、その動きは1年で90センチメートル、最大でも20メートルと言われている。

 古生物学者のピーター・ヴルサンスキーはこの現象を直接目撃したと主張しているという。

 一説によれば、このヤシは太陽へ向かって根(支柱根)を新たに伸ばしていき、それに伴って反対側の根がなくなることで〝歩く〟ことができるのだという。また、単純に根が折れたり、腐ったりしたことで、その都度新しい根が生え、そのたびに移動するのだとも言われている。地元のガイドによっても、この歩くヤシについて説明がなされているそうだ。

 実は、日本の沖縄に自生するガジュマルの木も同様に〝歩く〟と言われているという。その様はまさしく歩き回る植物と称するにふさわしい存在であろう。まるで「まっくら森はうごきつづける」と歌った谷山浩子の楽曲「まっくら森の歌」を彷彿とさせる。

 だが、本当に〝歩く〟のだろうかという点については多くの疑問も寄せられている。この植物がこのような高床式の根を持っているそもそもの原因は、長期間の洪水や大量のがれきで覆われる場合に備えるための進化の結果とみられる。何より、その緩慢な移動速度から考えると、光を求めて移動すること自体が極めて非現実的なのだ。このため、現時点では〝歩く〟ことに対して多くの学者が否定しているという。

 とはいえ、まるで森やそこにある植物が意志を持っているかのように思える現象というものは、ほかにも例が報告されている。カナダでは以前、木の根が呼吸しているかのように地面を隆起させている様子が目撃されて話題になったこともあるという。まるで動物のように動く植物が、どこかに実在しているという可能性は必ずしも捨てきれないだろう。