ノア1月1日日本武道館大会のグレート・ムタ戦が「2023年度プロレス大賞」年間最高試合賞(ベストバウト)を受賞した中邑真輔(43)が、「奇跡の一戦」を改めて振り返った。

 受賞の報を受けた中邑は本紙の取材に応じ「僕が新日本にいた時は、よく1・4(東京ドーム)の試合はどれだけいい試合をしてもなかなか受賞しづらい、なんて言われてました。そういう意味で今年の元日の試合は、色あせることのない、普遍的なプロレスにおける芸術を残せたのではないかと」と胸を張った。「タイミングしかり、追ってきた物語しかり、試合内容しかり…。いろいろな側面で美しいものを残せたし、キャリアの中で愛すべき試合の一つだと思ってます」と、かつてのアイドルと繰り広げた激闘には特別な思い入れがある。

 現在進行形のWWEスーパースターが、日本の他団体で試合すること自体が異例中の異例。実現に至る経緯、幻想的な入場、中邑がムタに肩を貸して去って行く退場、そしてコメントブースでの涙まで、選考委員からは「1試合で映画を見ている感覚」との評価まで上がった。「言われる通りですね。今でも見返しますもん。気分が乗らない時は(自分の)入場を見たりとかして、気持ちを上げる時はありますよ」

白装束で登場した中邑真輔
白装束で登場した中邑真輔

 中邑自身にとっても忘れられない経験になった。「ハッキリ言ってここ数年、自分のポテンシャルを発揮できていないもどかしさがあるなかで、ふっとノアさんからのオファーがわいて、タイミング、時代のうねりが奇跡的に結合してあの試合が生まれて。自分の中で『救い』でもあるなと思ったんですね。実現に至って誠心誠意試合をすることができた作品なので。公で評価されることはありがたいなと思いますね」と最高の評価を喜んだ。

 ムタ、ならびに代理人の武藤敬司に対するコメントを求められると「おコメ(現金)の話はなしよって」とニヤリ。「でも武藤さん、あの日から自分に対する感じ変わりましたもんね。認めてくれたんだなって感覚はあります。ムタ戦以後、ガラリと流れを変えることができて、自分のキャリアの中でも分岐点ではあるんだろうなと思ってます」。ともに日本が生んだ世界的スーパースター同士による「最高の芸術作品」と呼ぶにふさわしい、まさに歴史的ベストバウトだった。