日本大学の競技スポーツ部を担当する沢田康広副学長が27日、日本大学アメリカンフットボール部員の違法薬物事件の対応を巡りパワハラを受けたとして、林真理子理事長に1000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。もとはアメフト部の不祥事で、この日は3人目の部員が逮捕されたが、事態は上層部の法廷闘争に発展。一部では林氏の〝暴走〟を指摘する声もあるが、その背景にあるものとは?
日大は情報をもとに7月に部員の寮を調べたところ、男子部員の収納箱から植物片と錠剤を発見。沢田氏が預かり、保管した「空白の12日間」を経て警視庁に連絡して鑑定したところ、大麻と覚醒剤成分が検出され男子部員は逮捕された。
8月の会見では沢田氏が保管した「空白の12日間」に違法性が指摘された。日大の対応を検証する第三者委員会の報告書でも、「空白の12日間」が「信用を著しく失墜させた最大の原因」と問題視されていた。
一方で第三者委員会は林氏のガバナンス能力についても「全く機能しなかった」と断罪。これを受けた今月22日の理事会で、林氏は50%の減給、酒井健夫学長と沢田氏には辞任勧告することが提案され、3人とも承諾する見通しだ。
そんななか沢田氏と林氏の法廷闘争がぼっ発。沢田氏は8月の会見後、林氏から合理的な理由なく幹部会議への出席禁止命令を受けたり、沢田氏が警視庁の事情聴取を受けると私学助成金が交付されない可能性があると辞任要求されたりしたのは、パワハラに当たると提訴した。
沢田氏の主張について、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士は「辞任を促した点はパワハラに該当する可能性は低いが、会議への出席禁止命令はパワハラに相当しうる」と指摘。ただし、パワハラの認定を勝ち取るハードルは高く、一部勝訴も難しいのではと見解を示した。
それにもかかわらず、提訴に踏み切った沢田氏。いったい、何が林氏との法廷闘争に持ち込ませたのか? 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「沢田氏の〝最後っ屁〟」と指摘して、こう解説する。
「もともと林氏はアメフト部などを管轄する競技スポーツ部については沢田氏を信頼して任せていた。だから報告をうのみにし、沢田氏が描いたシナリオに乗って8月の会見に臨んだ。ところが会見で『空白の12日間』が問題視され、沢田氏の高圧的な態度も批判されたことで一転。2人の関係に亀裂が入り、最後は辞任要求までした。沢田氏は〝トカゲのしっぽ切り〟と捉え、絶対許せない恨みにつながったのでしょう」(同)
林氏は会見時、酒井氏のことを「学長」と呼び、沢田氏のことは「先生」と呼び分けていたことからも、当初は信頼が厚かったことが見て取れる。しかし、沢田氏は会見で「ブツ」「パケ」など業界用語を使用して世間から批判を浴び、期待していたリスクマネジメントにも失敗。林氏の失望が大きかったのは想像に難くない。
一方で、沢田氏のパワハラ訴訟を招いた一因には、林氏の暴走もあったと石渡氏は指摘する。
「林氏は私学助成金が3年連続で不交付になる不名誉を避けたい思いで焦っていたようにみえる。満額なら年間90億円ほど交付されるので、大学運営にとっても大きな資金になる。とはいえ正式な手続きを経ずに独断で沢田氏の幹部会議への出席禁止命令を出してしまったのは、暴走と言われても仕方がない」(同)
林氏の必死の思いにもかかわらず、今年度も日大への私学助成金は不交付となった。それどころか理事長と副学長による法廷闘争にまで発展。日大はアメフト部の不祥事を発端にドロ沼へ突入しそうだ。












