女子プロレス界の盟主が、激震に見舞われている。「スターダム」を運営するブシロードファイトは20日に原田克彦社長の退任を発表。12月1日付で岡田太郎氏が新社長に就任することになった。5日の茨城・牛久大会では試合時間の直前の変更でファンから厳しい声が殺到し、木谷高明オーナーが会場で謝罪する事態に。トップの交代劇を生んだスターダムはどうなるのか――。
ほころびが生じ始めたのは今夏だった。シングルリーグ戦「5★STAR GP」期間中から、主力選手がケガにより相次いで欠場。左ヒザ負傷の中野たむ、頸椎ヘルニアのなつぽいは年内復帰が困難なことから、中野が持つワールド王座と、なつぽい&安納サオリが保持するゴッデス王座の返上が発表された。
さらに5日の牛久大会では、試合開始時刻が午後1時から午後3時30分に変更になったことが大会前日に告知され、団体の対応にファンから厳しい声が多く上がった。
木谷オーナーは欠場者が増えたことを「リーグ戦中にビッグマッチをやるとか、日程の問題が大きかったと思います」とし、「来年はリーグ戦中にそのような大会をやることはないです」と説明した。
また、牛久大会については「30年以上やってきて前代未聞のことだった。ファンの皆さん、レスラーの方々には申し訳ないという気持ちでいっぱいです」と神妙な面持ちで語った。
これらの問題を受け、ブシロードファイトの全社員と希望する選手を対象に、人事担当役員との面談を実施。新体制に移行することになった。「当然、社長が代わっただけじゃなくて、社員も少し新しい人が入ったりすることになると思います」。
12月から新社長に就任する岡田氏はこれまで、声優のマネジャーやブシロード関連のイベントに携わっており、木谷氏は「ライブとか舞台とかイベント制作に関しての経験があるので、レスラーの気持ちにすごく寄り添えるタイプなので選びました」と期待を寄せた。
運営側の体制が変わるだけではない。リングでは、左ヒジの脱臼および靱帯損傷で7月から欠場していた上谷沙弥と、9月に頸椎ヘルニアと診断され戦線離脱していた林下詩美が、28日の東京・後楽園ホール大会で復帰することが決定。明るい兆しも見えてきた。
岡田氏は「これまでのもろもろの問題は現在、事実関係を調査しているところです。社内のしかるべき審査を通して発表して参りますので、お待ちいただければ」と、団体改革に着手していることを明かしつつ「選手と会社の風通しのよい組織をつくることが必要だと思います。お客さんに安心して会場に来てもらえるよう、グループ全体で協力して解決していきたいと考えております」と約束した。
木谷氏も「新体制でスターダムを世界一の団体にします」。再び輝きを取り戻せるか。