新日本プロレスの内藤哲也(41)が、7日に右目の手術に踏み切ることを明らかにした。今夏のG1クライマックス覇者として、来年1月4日東京ドーム大会ではIWGP世界ヘビー級王者SANADA(35)に挑戦する。決戦前に、2019年から悩まされている「右目上斜筋麻痺」の改善を図るもので、今回の手術は3度目。その裏にはあまりに重大な決意がある。制御不能男が掲げてきた「一歩踏み出す勇気」とは――。

 4日の大阪大会でSANADAとの前哨戦に快勝した内藤は、次期シリーズで開催される「ワールドタッグリーグ」(20日、後楽園で開幕)に言及。「東京ドームのカードが決まってる選手はエントリーできないという謎のルールが、きっと今年も採用されてしまうんでしょ? ということは、俺は休み。じゃあ、このタイミングで一歩踏み出そうかな」と、オフ期間に新たな行動を起こすことを予告した。

 その「一歩」が意味するのは、右目の手術だった。2019年に目を内下方に引っ張る筋肉(上斜筋)の動きの悪化により複視(物が二重に見える)を起こす上斜筋麻痺と診断され、同年11月に手術。症状の再発により22年5月にも手術を受けたが、またしても悪化していたことを今夏G1後に明かしていた。

「筋肉の麻痺なので、手術したところで完全に良くはならないですよ。だから、おそらく今回手術してもまた、試合をしていれば、いずれはまた(同様の状態に)戻ってしまうでしょうね」という言葉が物語るように、現実は残酷だ。

 それでもこのタイミングで手術を決断したのは、メインイベントでの勝利後の代名詞「デ・ハ・ポン!」の大合唱パフォーマンスを東京ドームで成し遂げるためだ。「この状態で戦って今年G1を優勝したわけですし、別に今のままでもできないことはない。ただ、チャンスというのは何度も訪れるものではないし、今回はどうしてもつかみたい。そのために、今以上の自分になるためには、一歩踏み出す勇気が必要なのかなと」と力強く言い切った。

 決断の裏には悲壮な覚悟がある。実は主治医からは「同様の手術ができるのは3回まで」と忠告されている。つまり今回が受けられる最後の手術ということになる。

「本当はラスト1回は引退した時に取っておきたいなと思っていたんですよ。でも…引退後も大事だけど、それよりも二度と戻らない今を大事にしたいので、決めました。それだけ俺にとって、東京ドームでの大合唱が大きな目標だから。2020年にできなかった悔しさは、今でも覚えてますよ。それを成し遂げた後で何が見えてくるのか、自分自身に期待していますし、その先を見てみたいので」

 満身創痍になろうとも、すべてをささげて戦ってきた。だからこそリングの上に悔いだけは残したくない。揺るがない信念を胸に、東京ドームのメインに向かう。