楽天を戦力外となった炭谷銀仁朗捕手(36)の6年ぶり西武復帰が確実視されている。

 西武は大量16人を戦力外とした10月4日の発表で斉藤誠人、育成の牧野翔矢の2捕手をリリース。牧野は育成再契約の方針も、支配下と育成で計13人を指名したドラフト会議では捕手の補充を行わなかった。

 炭谷の古巣復帰について関係者は「ライオンズの生え抜きでチームを客観的に外から見る目を持っている。柘植、古賀の若手捕手に経験を伝える役目、チームの将来を考える意味でも貴重な存在」と解説する。

 左ヒザ手術からの復帰時期が読めない岡田に代わる〝抑え捕手〟として、オリックス・中嶋、巨人・阿部両監督のように希少な生え抜き捕手出身の幹部候補としても、今回の復帰には意味があるという。

 また、球団の編成トップ・渡辺久信GM(58)と炭谷との信頼関係の大きさがポイントだ。同GMが指揮官だった2008~13年の間に主戦捕手に抜てきされたことはもちろん、森友哉捕手(現オリックス)をドラフト1位で獲得した13年オフの国内FA、17年オフの海外FAを炭谷は封印し、チームに残留したのは渡辺GMの存在があったからこそ。

 特に17年のFA交渉では、当時の球団幹部から最初に交渉余地のない一方的な条件提示を受け感情的になっていた炭谷を、2度目の交渉で当時の渡辺シニアディレクター(SD)が好リリーフ。炭谷は「SDから前向きなことを言ってもらって、いい話し合いができました」と軟化しチーム残留を決めた。

 通算3度目となった翌18年のFA交渉は難航。超大型契約で楽天移籍が内々に決まっていた浅村とは対照的に炭谷と渡辺GMとの争点はある一点だった。森友哉を無条件で主戦とする現場、辻監督の方針に対して「少なくとも森と競争をさせてほしい」と訴える炭谷に対し、渡辺GMの言い分は「フロントが現場の采配に口出しすることはできない」と平行線をたどり、最終的には出場機会を求めて巨人へ移籍。並行してオファーを受けていた楽天への直接移籍はファン感情も考慮して封印した。

 しかし、互いの立場から腹を割って、筋の通った本音をぶつけ合える関係性は組織としては貴重。この5年間で主戦捕手2人が流出した西武にとって、炭谷の戦力外は大局的な観点からベストタイミングといえそうだ。