韋駄天が風格を取り戻した――。2位でのCS進出を狙うソフトバンクで、周東佑京内野手(27)がリードオフマンとして打線をけん引している。今月6日のロッテ戦から「1番」に定着。9月は20試合に出場して打率3割7分5厘と打撃好調で、出塁率3割8分6厘、11盗塁をマークして相手の脅威となっている。

 ここまで12球団トップの35盗塁、誰もが知る球界随一の脚力の持ち主だ。相手は隙を見せれば一巻の終わり。重圧をかけ、緊迫感を生むことで攻撃にアドバンテージをつくり出してきた。

 グラウンドでのパフォーマンスだけでなく、垣間見せる精神面の余裕からも好調ぶりがうかがえる。24日のロッテ戦。初回に右前打で出塁すると次打者の初球にスチールを決めた。「前回(ZOZO)マリンで代走でいって、あんな感じのクイックと分かっていた」。この試合は急きょ相手先発が体調不良の佐々木朗から横山に変更。剛腕対策から一転、冷静に頭を切り替えイメージ通りに先制の起点となった。「ロッテのマリンとなると応援もすごいんで、初回にどれだけ点を取って優位に進められるかってところが大事だと思っていた」。大量5得点のビッグイニングを生む立役者だった。

 25日の同戦でも2安打2得点、ホームスチールを含む2盗塁を決めて大勝に貢献した。残り8試合、CS圏内を争う3位楽天とは1ゲーム差、4位ロッテとも1・5ゲーム差。楽天とは3試合を残す。「直接対決も残ってるし、そんなに深く考えすぎず1試合1試合、目の前の試合に勝つ。それが大事」。気負いのない言葉が周囲に安心感を生んでいるのも事実だ。

 13試合連続盗塁成功の世界記録をつくった3年前の秋も、相手に脅威を与える一方でチームに希望を与えた。今春のWBCでは世界一を経験したが、シーズン中盤はベンチを温めることも多かった。それでも勝負の9月、唯一無二の存在価値を証明しているところに「強い選手」の真価を見せている。