日本で人気の日本酒「獺祭」を販売する旭酒造は25日から、米ニューヨーク州で現地ブランド「獺祭BLUE」の流通を開始すると発表した。獺祭BLUEは80億円をかけてニューヨーク郊外に建設した酒蔵で製造されたもので、旭酒造が海外で日本酒を製造するのは初めてとなる。

 日本国内の日本酒出荷量は1973年のピーク時の2割に減少。加えて若者の酒離れも進んでいる。そんななかでの米国進出に、食品業界に詳しい米川伸生氏は「日本市場が縮小していくなかで、どの酒造会社も海外に活路を見いださなければいけない時代。そのなかでも旭酒造は早くから海外展開を見据え、酒米の山田錦を米国で生産しようと模索していた」。

 米川氏によれば、日本市場では4合瓶で1500円くらいまでが売れ筋で、2000円を超えると途端に売れなくなるというが、日本酒の評価が高い海外ではもっと高く売れる市場があるという。

 これまで海外で販売される日本酒は日本からの輸入が大部分を占めていた。関税と希少性もあって、現地では国によっては数倍から10倍以上の値が付くこともある。

 しかし、旭酒造は現地に酒蔵を構えて生産することで、関税の上乗せ分などをカット。4合瓶で34・99ドル(約5200円)という価格で販売する。日本国内からは安すぎるという声も上がっているが――。

「もともと旭酒造は質のいいお酒を手ごろな価格で流通させることで、市場を拡大させる戦略を取ってきた。今回の価格設定は破格だが、まさにこれまでの販売戦略そのもの。ニューヨーク、ひいては米国全体の日本酒市場を総取りするくらいの意気込みだ」(米川氏)

 米国では健康志向の高まりから日本食がブームになって久しいが、まだまだ日本食にワインを合わせる人も少なくないという。それだけに今後、さらに拡大する米国市場をにらんで、破格の値付けをしたのだろう。