阪神が18年ぶり6度目のリーグ優勝を甲子園で決めた。14日、巨人を4―3で下し、今季最長11連勝でゴールを駆け抜けた。そんな強い猛虎の中心で、15年ぶりに舞い戻った岡田彰布新監督の下、水を得た魚のように躍動したのが木浪聖也内野手(29)だ。
「遊撃はもう無理だ。二塁で勝負するしかない」。木浪は昨秋、プロ野球選手としての生き残りをかけ、そう覚悟していた。松井稼頭央(現西武監督)に憧れ、こだわりをもっていたポジション。だが、自分から定位置を奪い取り、昨季のベストナインにまで選出された中野がいる限り、返り咲くことは至難の業だ。29歳を迎えるシーズンで結果を残せなければ、俺に先はない――。
ただ、背番号0の運命は新指揮官に就任した棋士・岡田監督が打った妙手によって大きく変わっていくことになる。中野の二塁コンバート。新遊撃手候補として当初の構想に入っていたのは、当時高卒4年目の新鋭・小幡だった。それでも岡田監督は高知・安芸で行われた秋季キャンプで、あることに気づく。
「木浪は思ったよりも肩が強いな。新しい発見や」
新たな物語が始まった瞬間を木浪は「正直チャンスだなと思った」と振り返る。遊撃の定位置をかけ、再び戦いのリングに上がる権利は手にした。だが、自分より7歳下の小幡と攻守で同等程度の評価しか得られなければ「当然若いほうが優先して使われますよね。そういう世界です。何かを変えなければいけない」。バットを寝かせる形に打撃フォームを変更し、長打は完全に捨てた。新たな挑戦が奏功し、新シーズンの4月に月間打率3割1分6厘をマーク。「恐怖の8番打者」として、強烈な存在感を発揮できたことが小幡との遊撃争いを制する大きな要因となった。
かつてのライバル・中野は、ともに二遊間を守る新たな相棒となった。両者が固定起用される過程でコンビネーションは日に日に良化。7月16日の中日戦(甲子園)では〝アライバ〟ばりの華麗なグラブトスで「4―6―3」の併殺を完成させて大きな話題を呼んだ。「あれは〝アドリブ〟ですよ。あうんの呼吸じゃないですけど、キャンプでやっていたことがとっさに出た」。岡田野球の基本哲学である固定起用は、攻守にわたって自身に好影響を与えてくれているという。
「岡田監督は自分を変えてくれた人。本当に感謝しています。あまり会話とかはないんですよ。でも、ちゃんと見てくださっている」。今夜だけは存分に美酒を浴び、真のハッピーエンドを目指しポストシーズンに備える。












