J1神戸のMF斉藤未月(24)が19日の柏戦で、選手生命を脅かすほどの重傷を負った問題が波紋を広げている。斉藤はサッカーでは考えられないほどの重傷を負いながらノーファウル判定となり、神戸の三木谷浩史会長(58)が猛抗議。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(65)もフェアプレーの順守を呼びかける異例の事態になった。物議を醸す中で、斉藤を負傷させた柏の2選手に対する誹謗中傷が不安視されている。

 斉藤は柏のDFジエゴ(27)とMF戸嶋祥郎(27)の猛烈なタックルに左足が挟まれる形で重傷を負った。診断の結果、左膝関節脱臼、左膝複合靱帯損傷(前十字靭帯断裂、外側側副靭帯断裂、大腿二頭筋腱付着部断裂、膝窩筋腱損傷、内側側副靭帯損傷、後十字靭帯損傷)、内外側半月板損傷により、全治は「現時点で約1年の見込み」と神戸は発表。まるで大事故に遭ったかのような重傷で、選手生命はもちろん日常生活での後遺症も懸念されるほどだ。

 負傷の重大さに加えて物議を醸しているのが、これほどの危険なプレーにもかかわらず今村義朗主審がノーファウルの判定を下したことだ。

 試合後に神戸のFW大迫勇也が審判に苦言を呈し、22日には神戸の三木谷会長が自身のX(ツイッター)で「故意か否かではなく、このような危険なプレーを防ぐためにレッドカードがあるのだと僕は思う。足裏でサンドイッチ。JFAに睨(にら)まれようと、なんと言われようとこれはうちのクラブとしては放置はできません」と怒りをあらわにした。

 こうした事態を受けて、この日取材に応じた田嶋会長は「彼のけがの重大さを知るや、本当に言葉がなくなった。とにかく早い復帰を願いたい」と沈痛な表情。協会として「審判委員会がしっかりと正しい判断を説明しなければならない。今後フェアプレーが守られるようにしなければいけない」との見解を示した。

 その一方で、今回の問題は思わぬ形で波紋を広げている。柏はこの日「試合後より、強化担当や当該選手から先方におわびさせていただいております」と謝罪を発表。その上で「同件に際しまして、SNS上で該当選手に対する誹謗中傷が散見されます。ファン・サポーターの皆様にはこのような行為のないように、ご理解ご協力をいただきますようお願い申し上げます」と異例の呼びかけを行った。

 斉藤の重傷が明らかになった直後から戸嶋とジエゴに対して、SNS上では批判の域を超えた心ない誹謗中傷の言葉が飛び交っている。柏がわざわざ異例の声明を出したのは2人の選手が追い詰められているためで、Jリーグ関係者も「このままではさらなる〝被害〟が出てしまう。選手はなんとかして守らなければいけない。だが、ここまで火がついてしまうと止めようがない」と強い懸念を示している。

 斉藤の重傷問題が〝二次被害〟につながることだけは絶対に避けなければならない。サッカー界を挙げて適切な対応が求められる。