国の天然記念物に指定されているイヌワシの生態を知るため、国内初の子育てのライブ中継が行われていた滋賀県米原市のイヌワシの雛・ニーナが30日に死んだことで、今も多くのファンが悲痛な思いをつづっている。
ライブ中継は米原市と野生動物の調査会社「イーグレット・オフィス」が連携して昨年12月末から開始。4月に2羽の雛がかえり、生き残った1羽にファンらがニーナと名づけて成長を見守っていた。しかし、巣立ちを目前にした先月28日、ニーナは突然、思い立ったように走りだし、そのまま飛び出すことなく巣から落下。その後、関係者に保護されて補水液を口にしたが衰弱がひどく、30日に死んでしまった。
これを受けてライブ中継の掲示板には悲しみのコメントが殺到。死んでから3日たった2日時点でも、ニーナのいない巣を見ながら「墓標のようなトビの翼と、ひぐらしの鳴き声が哀愁を誘う」などと次々にコメントが書き込まれた。
ニーナは落下の前日までの10日間、絶食状態が続いていたというが、どうしてこんな結末になってしまったのか? 猛禽類に詳しい研究者はこう解説する。
「イヌワシは平均80日前後で巣立ちするが、この雛は生まれてから100日以上経過してもできていなかった。親から満足な餌の供給がなく、栄養状態が悪くて十分に成長できなかったようだ」
そもそもイヌワシは日本最大級の猛禽類で、生きていくために多くの餌を必要とする。主にノウサギやヤマドリといった中型の動物を捕食し、時には子シカまで襲うことがある。その昔、天狗に幼い子供がさらわれる民話が日本各地にあったが、天狗の正体はイヌワシだったというのが通説だ。
「日本のイヌワシは近年の森林放棄で狩場が激減。雛が生まれても餌が足りず、親自体が生きていくのがやっとな状況にある。かつて日本全国にあった生息地は年々減少しており、森林環境の悪化に比例して近い将来の絶滅が危惧されている」(同)
近年、日本の森林は手つかずのまま荒れて、異常気象による自然災害も発生している。“ニーナの悲劇”は、日本の森林環境の問題を投げかけているのかもしれない。











