【石井和義の光と影♯1】1993年に創立した「K―1グランプリ」や2002年の「Dynamite!」など、日本列島を大熱狂させる数々の格闘技イベントを手掛けてきた正道会館の石井和義館長(70)がこれまでのキャリアを振り返る新連載「光と影」がスタート。極真会館で「ケンカ十段」と呼ばれた師匠・芦原英幸さんや“燃える闘魂”アントニオ猪木さんとの関係など、格闘技ブームの仕掛け人が舞台裏の“真相”を大公開――。
02年8月28日、約1000メートルの上空から国立競技場に舞い降りたアントニオ猪木さんの姿を、格闘技史上最大のイベント「Dynamite!」の放送席から見たときは、うれしさ一番でした。もともと力道山や猪木さんが活躍するプロレスが強さにあこがれるきっかけ。だから「猪木さんが空を飛んでくれた」って。高所恐怖症の猪木さんをだます形だったから「バカヤローッ!」って怒られましたけど(笑い)笑って許してくれて。さすがですよ。
ただ僕が置かれている状況は楽しいものではありません。01年にマルサ(東京国税局査察部)に入られて東京地検特捜部に毎日顔を出すような状況でできないですよ。知り合いの芸能プロ社長は「いい根性してるね。普通はマルサが入ったらおびえるのに」って笑われました。マルサが入ろうが、法人税法違反で捕まろうが、歩くときは前向きじゃないと。止まったら負けだからね。
そんな「Dynamite!」では、リング上でしゃべったんです。そのとき、約10万人の観客を前にして脳裏にあったのは自分の“戦い”の足跡でした。「USA大山空手VS正道空手5対5マッチ」、UFCがなかったころに「格闘技オリンピック」。そして「K―1」を旗揚げした思い出が“走馬灯”のようによみがえってました。
組織というのは自分が“そこそこ”強くないと上に立てません。空手なら道場をつくって10人から40人くらいの会員になるまでは、見せる力を持っていないといけない。でも100人の組織になると、今度は強い部下ができる。そうなれば部下をコントロールすればいいわけです。そこからもっと大きなものをつくるときに必要なのが「正道」という志なんです。
僕も弱くはありません。だけど猪木さん、極真会館創始者の大山倍達先生、「ケンカ十段」の芦原英幸先生と“化け物たち”を見てしまったらとてもじゃない! ライオンや虎は練習せんでも強いでしょ。しなくても強い子たちが練習したらどこまで強くなるか。僕はそれを見抜けた。だからプロデュースの方を選んで、自分なりの戦いをしていったんです。
その戦いには理解力や交渉力、知力、胆力も必要になります。その戦いで石井和義という男は「魅力的」だった。世界中のヤンチャな相手と戦って、勝ち残って、押さえつけていくのが僕の流儀でした。リングには神に選ばれた者たちしか上がれないんです。でも神に選ばれなかった普通の人間が努力すれば頑張っていける世界がある。そこで新しい“ジャンル”をつくりたかったんです。
次回は普通の少年が、なぜ格闘技興行の世界に入っていくことになったのかをお話ししていきたいと思います。













