【松本薫の野獣道(最終回)】連載の第1回でもご紹介しましたが、現役を引退した現在は長女と2019年に誕生した長男の育児をしながらアイス作りに励んでいます。

 ダシーズのアイスはギルト(罪悪感)フリー・グルテンフリー。現役の時に感じたのは減量している選手の人ほどアイスを食べていたこと。体重調整すると、体の水分が抜けて火照るので。でもアイスってアスリートが食べちゃいけないってイメージもあるじゃないですか。だから食べても大丈夫なアイスを作りたかったんです。

 必要なものを使わずに作るのって難しいんですよ。牛乳を使った方がおいしいし、バターを使った方がコクが出ますから。じゃあ、違う成分を使っても同じ味になるかといったら、そんな単純なことではないんですよ。牛乳やバターにあるコクをどう補うのかとか、試行錯誤をしながら既存の商品だけでなく、新商品も作っています。

 ちなみに東スポっぽい話になりますが、引退後に格闘技界からオファーがありました。お断りしましたけど(笑い)。私、本当に人を殺す才能があるんですよ。理性をパンと外すことができるけど、何回も外したら冗談抜きでやばい人間になるなって。柔道でもスイッチが入ったとき、ルールがあるから「あ、やばい」ってわれに返れましたけど、最初から格闘技をやっていたらかなり危ない人間になっていたかもしれません。

 スイッチが入っちゃうと「骨、折れろ」と思っちゃうんですよ。本能的な部分もあるかもしれませんが、相手が戦闘不能にならないと、反撃してくる可能性があるじゃないですか。だから参ったで終わるのではなく、不能にさせようと脳が働くんです。だから危険なんですよ(笑い)。

 ここまでいろいろなお話ししてきましたが、柔道のおかげで「人に感謝できる自分」「自分に感謝する自分」になれたかな。感謝の気持ちがないと、自己肯定感も、自信を持つこともできないじゃないですか。それに自分を無条件に応援してくれる人たちがたくさんいて。そういう人たちにも出会うことって、普通ならなかなかないこと。当たり前じゃない世界、なかなか味わえないことを経験できたので、何とか「人間になれた」のだと思いますね。

 読者のみなさま、連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。ぜひダシーズのアイスを食べに来てください(笑い)。気長にお待ちしております!(終わり)