【松本薫の野獣道(17)】2017年に第1子の長女が誕生しました。予定通りに柔道も続けるのですが、出産後の競技人生が一番楽しかったです(笑い)。なんだろうな、やっぱり子供がいなかった時は柔道にガーンと真正面から向き合わなきゃいけないんですよ。
どちらかというと、柔道との距離感が近すぎだったのですが、出産後はもう、いや応なしに子供のお迎えに行ったりするので、練習が休みになることがあるんですよ。だから、練習できることが逆に奇跡みたいな感じでした。練習できる、試合に出られるぞ、みたいな(笑い)。なので余計に楽しくて、柔道との距離感がちょうどよくなった気がしました。
親になったからこそ改めて気づいたこともありました。練習や試合で戦ってきたライバルにも親がいて、親も応援している子供たちなんだなって。昔から思っていましたが、自分の夢をかなえる、五輪に出るということは誰かの夢を奪うことだなと、親になってより感じました。だからこそ、自分の行動にちゃんと自覚と責任を持って、無駄にしないように頑張らないといけないと思うようになりました。
なかなか十分な練習ができない中でも柔道を続けてきましたが、18年の全日本実業柔道個人選手権後に「引退」の2文字が頭をよぎりました。同大会前に子供が熱を出し、試合前のルーティンや追い込みができていない状態で畳に上がりました。それでも試合で勝てちゃうんですよ。気づいたら決勝まで行っていて、その時に闘争心がなくなってしまいました。
全然練習をしていない私に負けるって? あれ、なんかつまんないなって…。もしかして、こんなに積み上げなくても、試合していいものなのかなって。でもそれは嫌だったんですよ。やっぱり試合に向かうにあたって完璧な自分で挑みたいんですよ。でも、万全じゃなくても勝てちゃうのかと思うと、すごくつまんないんです。決勝では正直勝つ気はありませんでした。一応、試合に挑みましたが、もちろん、負けました。でも何も感じなくて。相手は喜んでいましたけど(笑い)。
この大会は講道館杯の予選でもあったので、講道館杯にも出場したのですが、はじめにつまんないと思った時点で、もう闘争心は失われていました。練習はしていたのですが…。旦那には講道館杯の前に「勝ったら次につながっちゃうから続けるけど、負けたら引退するわ」と伝えました。












