【松本薫の野獣道(1)】柔道女子57キロ級ロンドン五輪金メダルの松本薫氏(35)が、ユーモア満点に競技人生を振り返る新連載「松本薫の野獣道~凡人が天才を超えるまで~」がスタート。「嫌い」から始まった柔道を通じて得たもの、常識外れの行動に隠された狙いなど、魅力たっぷりの“野獣物語”をお届けする。第1回は現在の姿をクローズアップ。柔道着に別れを告げ、育児と両立しながらアイスクリームづくりに励む元世界女王の胸中は――。
――現在は2人の子供を持つ母となった
松本 育児はめっちゃ大変だけど、本当にかわいい。自分の命って一番大事だけど、自分の命をかけてでも守りたいものって子供しかいないなというのがわかりました。子育てを巡っては、旦那とケンカをすることもあります。やっぱり最初は自覚の差があったけど、覚悟を持って何度も話し合いました。旦那の中では頑張っているかもしれないけど、本当に頑張っているかをちゃんと見ようとしていない時もあったので。今でも何かあった時はちゃんと話し合うようにしています。
――子供と接する際に意識していることは
松本 できているかどうかはわからないけど、子供からの提案を否定しないようにしています。例えば「ママ、箸とって」とお願いされた時に「3本ね」と言われて「えっ、3本?」と思ったけど、本当に3本使ってご飯を食べていたんですよ。利き手の右手で2本使って、左手でもう1本使って滑りやすいコンニャクを支えていました。だから間違いかなと思ったけど、適当に言っているわけじゃないんだなと勉強になりました。
――子供には柔道をやってほしいか
松本 後々のことを考えると、護身術として、自分を守るという意味ではやってほしいですね。でも別に柔道じゃなくてもよくて、自分の中で誇れるものが一つあればいいなと思っています。今はピアノと(学習塾の)公文をやりたいと言ってきたので、やらせています。他にも自分たちがやりたいというものがあったら、やってもらおうかなと思っています。とにかく何かを頑張って、自分自身が誇れるものを持ってほしい。周りから変なことを言われても「私にはこれがある」と、自分で自分を肯定できるような人になってほしいです。
――アイスクリームづくりを始めたきっかけは
松本 小学校の卒業文集に書いていたのですが、ほぼほぼ忘れて成長していきました(笑い)。でも引退することになって(当時の所属先で現在は社員として働く)ベネシードの関連会社の中でアイスの事業がちょうど立ち上がったので、新しくて人も全然いなかったのですが、アイスをやりますと手を挙げました。
――アイス界でも天下取りを目指す
松本 今はすごい自分の力不足を実感しています。私自身がもっともっと勉強して、力をつけなきゃいけないと思っています。もっと多くのお客様の笑顔をつくるためにも、もっと勉強して、いろんな食材を知って、全国の販売店をもっともっと増やしていきたいと思っています。現時点で商品を扱ってくださる販売店のみなさんにももっと喜んでいただいて、ダシーズに携わって良かったと思ってもらえるのは、本当にまだまだ足りないです。まずはやっぱりちゃんと日本一になりたいです。
――日本一とは
松本 形としてモンドセレクション(国際的な食品品評会)の受賞もだけど、世の中に認められるものをつくりたいし、自分自身も認められるパティシエになりたいです。まだなれていませんが、ちゃんと資格(製菓衛生師)も取って、コンクールとかにもこれから出ていきたいです。みなさんがダシーズに行きたい、学びたいと思えるような環境にしないといけないので。
――そのために必要なことは
松本 まずはちゃんと自分が力をつけなきゃなと思っていますし、自分の中ではいつも悔しいなと思っています。いつも出社する時の電車の中は勉強の時間に充てていて、いろんな人のレシピを見ています。もちろん製菓学校にも行っているので、電車内で試験の勉強もしています。畑違いの分野の勉強は大変ですが、一からやっているので、めっちゃ楽しいです。
――最後に読者へメッセージを
松本 私の面白エピソードや思いが詰まった連載になっていますので、ぜひみなさん読んでください!(笑い)
☆まつもと・かおり 1987年9月11日生まれ。石川県出身。5歳から柔道を始め、兼六中学3年で全国中学校柔道大会52キロ級に優勝。石川・金沢学院東高(現金沢学院大付高)3年で全日本ジュニア選手権57キロ級を制した。2009年からワールドツアーに参戦し好成績をマーク。10年世界選手権57キロ級で日本人金メダル第1号に輝くと、12年ロンドン五輪でも頂点に立った。16年リオデジャネイロ五輪は銅メダルを獲得。19年2月に現役を引退した。現在はアイスクリームの事業を展開しつつ、2児の母として育児に奮闘中。163センチ。














