柔道の世界選手権第2日(8日、カタール・ドーハ)、女子52キロ級の阿部詩(22=パーク24)が優勝を果たし、男子66キロ級の阿部一二三(25=同)は、丸山城志郎(29=ミキハウス)を決勝で退け、ともに2連覇を果たした。2021年東京五輪から3年連続で「きょうだい金メダル」に輝き、ともに2連覇を目指すパリ五輪代表に大きく前進する中、12年ロンドン五輪女子57キロ級金メダリストの〝野獣〟松本薫氏(35)が2人が見せるパフォーマンスを分析した。

 全5試合をオール一本勝ちで制し、2連覇を果たした詩は「この結果に満足せず、パリ五輪で2連覇をするために、また精進していきたい」と語った。その一方、兄の一二三は11度目となった丸山との決戦を延長戦の末に制し「決勝は最後まで強い気持ちで闘い、五輪王者の力を見せられたと思う」と力を込めた。

 きょうだいが同日優勝を果たすのは通算4度目となった。松本氏は「天才ですよね。(投げ技のときに)人ってあんなに簡単に浮かないですよ。2人とも相手を浮かすのが得意でよく似ています。自分の腰に相手を乗せたらもちろん浮くのですが、その乗せ方がすごい上手です」と評価した。

 特に2人が得意とする「袖釣り込み腰」は圧巻という。「相手の袖を釣り上げた瞬間に自分のヒジや肩などの上半身を入れるのですが、阿部きょうだいは全身を入れることができます」と分析。続けて「投げ技は基本的に『崩し』『つくり』『掛け』の3段階が必要ですが、阿部きょうだいは1段階で、できてしまいます。普通は1、2、3と動くイメージなのですが、2人は1でバンと投げることができます」と舌を巻いた。

 なぜ、超人技を繰り出せるのか。松本氏は「基本『崩し』にいくと、バランスが崩れるので『つくり』に移っていく。でも阿部きょうだいは相手が崩れようが、自分が崩れようが関係なく、全ての体を持ち込んでいきます。体の瞬発力とバランス力がすごすぎてマネできないです」と指摘。さらに「軸をつくることはすごく難しい。1個軸が崩れたら倒れてしまうのですが、どんな角度になっても、軸がブレないです」と異次元のパフォーマンスを絶賛した。

 全日本柔道連盟は早ければ6月にもパリ五輪代表を内定する。阿部きょうだいが再び五輪の舞台で躍動するのは間違いなさそうだ。