19日にSNSで論争になっていたのが自転車のベル問題だ。自転車が歩行者に対してベルを鳴らしたところ、歩行者が激怒。その様子を撮影した動画が拡散され、「ベル鳴らしちゃダメ」「おじさん怒りすぎ」と反響がたくさん集まり議論になっている。こうしたトラブルを避けるためにはどうしたらいいのか。

SNSで拡散されている動画の内容はこうだ。女性が自転車で2歳の子供を病院に連れていく路上で、注意喚起のため歩行者の中高年とみられる男性にベルを鳴らした。すると、男性は自転車を止めさせ、「通りますって言えばいいじゃん。声出して! 違うんか、おいー」と怒鳴り、自転車のカゴにつかみかかり、子供が号泣してしまったのだ。
 女性は「通りますよってことで(ベルを1度)鳴らしただけじゃないですか」と言い、男性はさらに激怒。女性は「(子供が)泣いちゃったじゃないですか」と言い返し、男性は「警察呼べよ」と大声で叫ぶなど修羅場となっていた。

 この動画にツイッターユーザーは「ベルを鳴らすのはよくない」「男性の顔をさらすのはよくない」「子供を守るなら、受け流して去った方がいい」などの意見もある。

 自転車のベルがポイントだ。道路交通法第54条には「警音器の使用」について、「左右の見通しのきかない交差点や見通しのきかない曲がり角等であって、道路標識等により指定された場所等を通行しようとするとき以外には、危険を防止するためやむを得ないときを除き、警音器を鳴らしてはならない」とある。

 つまり、ぶつかりそうなどの緊急時以外、路上で歩行している歩行者にベルを鳴らすのはNGというわけだ。動画の男性は法律を踏まえた主張をしていると思われるが、とはいえ、男性の激高ぶりもすさまじい。

 この動画について、子供を乗せて自転車を利用する女性は「とにかく子供の安全が第一なので、トラブルにならないようベルは鳴らしません。特に、危なさそうな人やキレてきそうな人がいる場所は慎重にやりすごしますし、何なら遠回りします」と自主的な対策をしていると明かした。

 昨今、キレる中年が増えていると指摘されることが多い。“キレる”とはどういうことか。都内の精神科医は「喜怒哀楽の中で、笑う、悲しい、楽しいという感情はストレートな一次感情。しかし、怒りは二次感情で、その二次感情を生む一次感情は不安です。特に、長く生きてきた中高年は、多くの不安を抱えながら生きてきているので、日ごろから不安が強いのです。心のバケツがあるとして、不安という水がこぼれそうになっているところに、別の水が注がれるとあふれる。それがキレるということです」と解説した。

 人と自転車がぶつかりそうになって人が怒鳴った場合、ぶつかりそうになったことが怖くて不安で、怒りとなっているわけだ。

「とはいえ、キレる人もヤクザや格闘家相手にはキレません。キレる人は無意識に、キレても反撃できない相手を見つけてキレるのです。だから、駅員、店員、子供、女性にキレるわけです」(同)

 誰もが年を取り中年になるのは避けられない。キレられたくないと同時にキレる側にもなりたくないはず。楽しみや目標を持って生きていれば、不安がたまらず、ささいなことではキレなくなるという。普段から不安を少なくしたいものだ。