昨今のプロレス会場で頻繁に目にするのが、「レックPresents」の文字だ。「激落ちくん」や「バルサン」など日用雑貨を販売するレック株式会社が各団体をサポートしているもので、全22団体55選手が集結した3月1日の「オールスター・ジュニアフェスティバル」(後楽園ホール)でも冠スポンサーを務めた。なぜ、プロレスの応援を決めたのか? 勝利者プレゼンターとしてリングに上がることもあり、プロレスファンの人気も高い永守貴樹社長(51)を直撃した――。

永守社長はプロレスへの熱い思いを語った
永守社長はプロレスへの熱い思いを語った

――なぜ、プロレスの協賛を

 永守社長(以下永守)お取引先との親密化を図るための販促企画としてプロレスイベントやり始めて、その一環で協賛も合わせてやるようになりました。取引先がホームセンターとかドラッグストアが主で、特にホームセンターでは競合他社と価格競争になってしまうんです。そこで価格以外で販売促進の提案をできないかって思った時に、ホームセンターの駐車場とか店内でプロレスのイベントやったらいいかと思いまして。

 ――なぜプロレスを

 永守 私がプロレスのことが好きで、プロレスだったらわからないことはないだろうと根拠のない自信で始めたんです。最初はドラゴンゲートさん中心でやっていたのですけど、取引先の方から「ここの団体呼んでください」というリクエストをいただくようになりまして、弊社から団体にお声掛けをしています。

 ――どれくらいの利益があるのか

 永守 弊社の利益はお取引先にうちの商品のシェアを上げてもらうことです。例えば、バルサンっていう殺虫剤がありまして、「イベントでお客さまを集めるので、他社さんより弊社の商品のシェアを上げてくださいね」っていうのをお願いしています。ある店舗さんでは劇的にうちのシェアが逆転したところもありますし、プロレスをやってなかったら商品が棚から落とされるところだったみたいなところもあります。

 ――サポートしてよかったことは

 永守 プロレスファンの皆さんが目をキラキラ輝かせながら「社長、ありがとうございます」ってお礼を言いに来てくれるんですよね。その姿を見ると、やってよかったなと思いますね。弊社が販売しているのは日用品ですから、お金をためて頑張って買う商品じゃなくて、これにしてみようっていう、ある意味ノリでも買ってもらう商品なんです。だから、プロレスファンの皆さんから「日用品なんて何でもいいんですけど、レックさんはプロレスの味方だから、激落ちくん使ってます」って言われるのが一番うれしいですね。

藤波(上)がサソリ固めで長州攻め(91年12月)
藤波(上)がサソリ固めで長州攻め(91年12月)

 ――自身もプロレスファンだった

 永守 タイガーマスクが好きだったんです。前職が銀行員だったので、転勤で海外に何年かいたんですけど、その時もずっと日本のプロレスを見ていました。週刊プロレスも週刊ゴングも年間の購入金額を固定させて買ってました。やっぱり藤波辰爾VS長州力は好きでしたね。おきて破りの逆サソリ固めとかね。その時の古舘伊知郎さんの実況が大好きで。なので自分が見てた藤波さんとか長州さんに会えた時はうれしかったですよね。

内藤哲也との対抗戦に向けた会見に拳王は赤いスーツで登場
内藤哲也との対抗戦に向けた会見に拳王は赤いスーツで登場
昨年3月、朱里のワールド王座に挑戦したジュリア
昨年3月、朱里のワールド王座に挑戦したジュリア

 ――印象に残っている選手とのエピソードは

 永守 拳王選手が会見で着ている真っ赤なスーツはうちがつくったんですよ。彼のイメージをつくってもらいたかったので「スーツもコスチュームの一つなんだから、そこでも注目されなきゃダメだよね」っていろいろ話して打ち合わせを重ねてできたのが、あのスーツなんです。目立ちますし、すごい評判が良かったので定番化してますよね。たまにそういった感じでうちが出資して衣装をつくったりとかする時もあって、実は去年の3月の両国大会のジュリア選手のコスチュームもうちがつくったものを着てたんです。

 ――朱里とのワールド王座戦で着用したものですね

 永守 最終的にそれも全部弊社に返ってきますので。うちのことを応援してくれたりとか記者会見でも弊社の商品を使ってくれたりね。鷹木信悟選手とか言葉がうまいので「そのベルト、激落ちくん使って磨いとけ」とか、いい感じに宣伝してくれたり。逆に頼んでないのに、青木真也選手が記者会見で「バルサンたきすぎたから、こんなしゃがれた声になった」って言ったことで弊社には「選手に宣伝させすぎだ」って批判がくることもありました。そんなこと頼んでないのに…。

 ――今後もプロレスを支援していきたいか

 永守 ホームセンターで1000円で買い物したらプロレスが数試合見れるっていうのは消費者の方には優しい設定だと思うので、弊社の企画をプロレスへの入り口としてもらえたらと思います。ニーズがある限りやり続けていきたいですね。

 ◆16年DDTのホームセンター開催が最初

 レック社が最初にプロレスとかかわったのが、2016年9月にDDTが埼玉・ホームセンターセキチュー熊谷小島店で開催したホームセンター路上プロレスだ。永守社長は「それから屋上の駐車場にリングを設置しようとかシリーズ化していきました。『ホームセンタープロレス』という言葉を先行させて消費者の皆さまに興味を持ってもらう。そして見に来たら『面白いじゃん』って思ってもらえるように弊社とお取引先、プロレス団体の3者の誰も損をしない構造をつくりたいなと思いました」と語る。現在も各団体の協力を得て、スーパーマーケットプロレスなども開催している。

実況の辻よしなり氏(右)と解説をする永守社長
実況の辻よしなり氏(右)と解説をする永守社長

 ☆ながもり・たかき 1971年8月21日生まれ。京都府出身。1995年に東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2012年にレックに入社し常務執行役員に。13年に社長に就任。父はニデック(旧日本電産)創業者の永守重信会長。