【取材の裏側 現場ノート】「そらもう想像以上よ。誰もが想像以上やろ」。阪神・村上頌樹投手(24)に対する岡田彰布監督(65)の評だ。

 確かにその通りだろう。16日の中日戦(豊橋)では5回7安打4失点と少々打ち込まれたものの、打線の援護もあって3勝目。防御率1・22は堂々のリーグトップ。昨季まで一軍マウンドとほとんど縁のなかった大卒3年目右腕は、首位を走るチームの原動力として虎の先発ローテを支えている。

 とはいえ、伏線は「秋」に張られていた。岡田監督が指揮官に就任した直後に行われた昨年11月の安芸キャンプ。昨季までファームでくすぶっていた木浪の守備力を見いだし、今季の大ブレークにつなげた話はあまりにも有名だが、この時木浪と同様に、高い評価を与えていた選手が村上と石井大智投手(25)だった。

 村上に対しては「ボールのキレがすごくあるな。一軍の経験は少ないらしいけど、ファームである程度成績残せているだけあって、ボールに力もあるよ。何か使いようはあるかも分からんな」。石井に対しても「いいなあ。コントロールとかいろいろな。〝生きたストレート〟言うたらおかしいけど、ズバッと伸びがある」。両者ともスピードガンには表れない直球の〝質〟を再三称賛されていた。

 後の取材で村上、石井は、ともに直球の伸びを測る指標「ホップ成分」がNPB投手の平均値を大きく上回る60センチという数値を記録していることが判明。岡田監督の目にはラプソードでも装着されていたのだろうか…。いずれにせよ「データに頼りすぎず、自分自身の感性と実戦勘を重んじる」眼力の高さは、またも証明された形だ。

 今季からセットアッパーに抜擢された石井も13試合に救援登板して1勝0敗、防御率0・60。腰痛による戦線離脱は残念でならないが、まずはリハビリに専念し万全の状態で一軍に復帰してもらいたい。

「選手間の競争意識やモチベーションを高めるため、ややオーバーに選手をほめちぎっているのではないか」との声も昨秋の段階ではチラホラ耳に入ってきた。だが、記事化されていないだけで、一軍レベルに満たないとみなされた選手、状態が悪かった選手には辛辣なコメントを残していたこともここに記しておく。

 ほかに、秋季キャンプ中に岡田監督が期待を示していた選手は、桐敷拓馬投手(23)や前川右京外野手(19)。特に前川は高卒2年目の若武者ながら、現在二軍戦で打率3割8分9厘と好調を持続。外野守備に課題を残すが、非凡な打撃センスは指揮官も大いに認めているところだ。DHのある交流戦あたり…。次に「オカダの眼力」を証明する選手は、この男ではないかと、個人的に注目している。