台湾プロ野球界が「謎の退任騒動」で大きく揺れ動いている。台湾プロ野球の中信兄弟は10日、元阪神の林威助監督(44)が辞任したと発表。後任には副ゼネラルマネジャー(GM)とファームディレクターを兼務していた彭政閔氏(44)が就任することになったが、台湾メディアや現地ファンの間からは予期せぬ事実上の〝更迭劇〟に疑問の声が噴出している。

 昨年の台湾シリーズで中信兄弟は2連覇を達成。その立役者となったのが、2020末から一軍監督としてチームを率いていた林氏だった。台湾出身の林氏は近畿大学を経てドラフト7位で阪神へ入団し、03年から13年までプレー。台湾の中信兄弟へ移籍し、17年で現役を引退後も指導者としてユニホームを着続けている。

 しかし今季は10日現在で10勝15敗1分の勝率4割2厘で5球団中、最下位に沈み、苦戦を強いられていた。ただ、まだチームは開幕から26試合しか消化しておらず、しかも10日に3連勝を飾った不自然なタイミングでの監督退任発表となったこともあり、台湾内では「何か見えない力が働いたのではないか」と勘ぐる向きが大半を占めている。

 中信兄弟は10日夜にプレスリリースを配信。「チームの長期的な発展を追求し続けるため」として林氏を新たに「チーム海外育成コンサルタント」に異動させ、さらに元阪神の平野恵一一軍打撃兼野手統括コーチが「ファーム野手発展ディレクター」に転任となり、二軍投手コーチを務めていた元ヤンキースの王建民が一軍コーチに昇格するなど首脳陣に全体にメスを入れたことも併せて発表している。

 だが、現地メディアの多くは懐疑的だ。台湾メディア「三立新聞網」が11日の電子版で「林威助氏の残酷な解雇に関する裏話はあるのか」と題し、暗に疑問符を投げかける記事を掲載。一方で「中央廣播電臺」は〝内紛説〟について「林威助氏の解任は経営陣との意見の相違によるものとの噂もあるが、チームリーダーの(GMの)劉志威氏はこれを否定し、すべてはチームの立場から検討していると強調した」と報じている。 

 台湾メディアの関係者は「前代未聞の騒動です」と口にし、次のように舞台裏を打ち明けている。

「中信兄弟の球団オーナーはかねて〝現場介入〟を繰り返しており、これまでも林監督とは水面下でたびたび衝突していた。林氏は10日の試合前に『家庭の事情』を理由にチームを急きょ離れ、その日のベンチで指揮を執らないまま戻って来ることもなく球団からの一方的な退任発表を迎えた。これは事実上の解任と見て間違いありません。中信兄弟のファンからもSNS上では『チームを連覇に導いた功労者が、なぜ辞めなければいけないのか』などと激しいブーイングが起こっています」  

 中信兄弟は台湾の超人気球団だけに監督退任騒動の行方が気がかりだ。