昨年、死去したプロレスラーのアントニオ猪木さん(享年79)は、国会議員として、レスラーや格闘家が政界進出する扉を開いた。統一地方選後半戦(23日投開票)には、猪木さんとゆかりがあるマット界出身者が各地で立候補。闘魂はしっかりと受け継がれていた。

 品川区議選に無所属で立候補している木村健悟氏(69)は、新日本プロレスの元レスラーで、猪木さんとは長年リング上でともに戦ってきた。

「国をまたいで世界平和を訴えた猪木さんのマネはできないが、区民からの声をコツコツと形に変えてきた」。区議としての3期12年の実績は他の候補者を寄せ付けない。

 選挙カーからは猪木さんのテーマ曲「炎のファイター」が流れ、道行く人は聞き慣れたメロディーに思わず足を止める。「自分は猪木さんの弟子で、『木村健悟、頑張れ!』と言ってくれているように聞こえる。猪木さんはあの世に行っても影響力はありますよ」

 同区議選には全日本女子プロレスで活躍した元レスラーの神崎文枝氏(56)も自民党公認で立候補するなど定数40に対し、58人が争う大激戦だ。「猪木さんから『バカヤロー! 負けることを考えてやるバカはいない』と言われてきた。その思いで今回の戦いは臨みたい」と木村氏は「闘魂」「元気ですか~」の文字が入ったのぼりと炎のファイターに勇気づけられ、4期目当選を目指す。

 文京区議選に無所属で立候補している西村修氏(51)も猪木さんにあこがれ、新日プロの門を叩いた一人だ。11年に初当選し、今回は4期目の挑戦。「愛と感謝の文京区~スポーツマン精神を文京に~」のコピーで、がんを克服した経験から教育、健康、暮らしの3本柱を掲げる。

 北海道・芦別市議選で、すっかりおなじみとなっているのは、マシン軍団を率い、猪木さんと抗争を繰り広げた将軍KYワカマツことワカマツ市政氏(81)だ。猪木さんの国政挑戦に刺激され、1999年に芦別市議選に当選。5期20年を務める国内最年長現役レスラーは、北の大地で“二刀流”を見せつける考えだ。

 茨城・龍ケ崎市議選で再選を目指す元総合格闘家の桜井マッハ速人氏(47)は「PRIDE」のリングで、猪木さんにビンタで闘魂注入された過去を誇りに持つ。出陣式では「この道を行けば~迷わず行けよ行けば分かるさ」と猪木さんのスピーチで有名になった「道」を朗読。世界で活躍する人材づくりを訴えている。

 埼玉・狭山市議選に無所属で立候補した土方隆司氏(44)は全日本プロレスなどで活躍し、昨年には覆面レスラー「歳三」として、王座にも就いた。「政治に必要なのは批判や非難ではなく建設的な議論と積極的な発言」と3期12年の経験を自信に、狭山市のさらなる発展を公約に掲げている。

 現役・OBレスラーの政治家では、石川県の馳浩知事、大阪・和泉のスペル・デルフィン市議、大分のスカルリーパー・エイジ市議、東京都の川松真一朗都議、山口・下関の竹村豪(克司)市議らが現職で活動している。

 統一地方選前半戦では、プロレスラーのKENSOこと鈴木健三氏の妻で、元WWEディーバの浩子氏が千葉県議選で再選。覆面レスラーのグレート無茶氏が長野県議選に初当選しており、ベテランぞろいの後半戦組の結果が注目される。

(左上から時計回りで)木村氏、桜井氏、鈴木氏、ワカマツ氏、西村氏、土方氏
(左上から時計回りで)木村氏、桜井氏、鈴木氏、ワカマツ氏、西村氏、土方氏