巨人が中日との開幕戦(東京ドーム)に3―6の逆転負けを喫した。3年ぶりのリーグ優勝へ、手痛い黒星スタートとなったものの、原辰徳監督(64)は自らに課したテーマをひとまずクリアした。それは「がまん」。熟練指揮官のもう一つの顔としては、球界きってのせっかちぶりも挙げられるが、必勝の十字架を背負う今季はひと味違うのかもしれない。
歓喜に沸いたG党の大歓声が悲鳴に変わった。1点を勝ち越した直後の9回から登板した新助っ人のロペス、高梨が一挙4点を失い、痛恨の逆転負け。原監督は守護神・大勢を登板させなかった理由について「今日はマウンドに上げる状況ではなかった」と説明。WBC出場後のコンディションを日々確認しており、この日は回避させることを決めていたという。
まさに大勢の出場見送りも、指揮官が掲げる「がまん」の一環と言える。現状の戦力は「まだ新しいチーム」と分析。開幕メンバーは昨季から大幅に入れ替わり、ローテで同じ顔触れとなったのは戸郷と赤星の2人だけだ。それだけに「私自身もがまんしながら戦うことが大事。チームがなじむまでは簡単にはいかないでしょう」と忍耐の必要性を説いていた。
この「がまん」こそが、ある意味で指揮官にとっての〝最大の敵〟でもあった。というのも、原監督は球界内でも屈指の〝せっかち男〟としても知られ、球団関係者も「特に『待つ』ということは得意ではない」と証言する。
そうしたエピソードは枚挙にいとまがない。例えば、遠征の移動時。新幹線のホームにやや早めに到着すると、目の前に入ってきた1本前の列車に「これ?」と乗り込もうとしたことは一度や二度ではない。
また、春季キャンプ中には突然のダッシュも決めた。報道陣と談笑しながら選手宿舎へ歩いていると、歩行者用の信号が点滅。すると「渡ろう!」と急にピッチを上げて横断歩道を渡り切った。
さらに、昨季の試合中には〝早退〟しそうになったことも…。セーフティーリードを奪いながら、ゲームセット目前でリリーフが四球を連発してモタついた。味方の守備の間は腰掛けるのが原監督の流儀だが、その時は立ち上がったままで、球団スタッフは「早く終わらせろよという心境だったと思います」と代弁していた。
原監督は悔しい敗戦にも「このような感じで(粘り強く)戦っていけば大丈夫だと思います」と淡々とした表情で語った。V逸しては元も子もないが、長丁場のシーズンの先々も見据えながら一歩ずつチームを成熟させていく。












