韓国粉砕の立役者だった。WBCの1次ラウンド・日本―韓国(10日、東京ドーム)は、日本が13―4で圧勝。韓国が「(3番を打つ)大谷の前にランナーを出さない」ことを徹底していた中で、2番に座った近藤健介外野手(29=ソフトバンク)が輝きを放った。

 貴重な1号ソロを含む3打数2安打3打点、さらに2四球と5打席で4度出塁し、チーム最多の3得点。持ち前の選球眼の良さも発揮して、打線をけん引した。今大会2試合を終えて、打率は4割2分9厘、出塁率は6割3分6厘。強打者・大谷の前に並べることで強みを最大限発揮している。

 出塁への高い意識は、横浜高(神奈川)1年時に培われたものだった。高校野球界で名伯楽として名をはせた同校の小倉清一郎元部長が非凡な野球センスを見いだし、入学間もない5月から〝一軍〟に抜てき。機転が利き、視野の広さは昔から際立っていた。

「なかなか打席で手を出さないんで『もっと積極的にスイングを入れたらどうだ?』って聞いてみたことがあるんです。そしたら、健介が『俺は若いカウントで絶対にアウトになれないんだ』って一言、答えたんです」

 そう証言するのは父・義男さん。ミートポイントが近く、どんな球種にも対応できる天才的な打撃はすでに面影があったが、中学軟式野球上がりの15歳はまだ非力だった。2学年上の筒香(レンジャーズ)ら強打者ぞろいの上級生に挟まれ「役割」を直感的に理解していた。

 修徳学園中(東京)の軟式野球部から「一般入試」で入った横浜高で開花させた才能だった。打ち気を我慢する中でセンスと選球眼は磨かれ、コンタクト率は飛躍的に進歩。家族や周囲が進学先に難色を示す中で、反対を押し切って選んだ道だった。

「球数を放らせた後に来る甘い球は絶対に仕留めるという気概はすさまじかった。『出塁の鬼』とか呼ばれてるけど、振り返れば、あそこが原点かな」(義男さん)

 横浜で生き方を見つけて15年――。侍で、大谷にも負けない光を放っている。