3月開催の第5回WBCに臨む野球日本代表・侍ジャパンが〝遠隔合体〟で危機を乗り切ろうとしている。2月17日からの宮崎代表合宿にダルビッシュ有投手(36=パドレス)の参加は決まったものの、大谷翔平投手(28=エンゼルス)ら他4人のMLB組の合流は不透明のまま。大幅な合流遅れも懸念される中、チーム内では「リモート」を用いることで海の向こう側とのコミュニケーション不足の解消やサインプレーの確認など遠隔操作で一致団結していく案が具体化し始めている。
残念ながらMLB組全員の早期合流が厳しい状況に変わりはない。侍ジャパンのWBC最終メンバーに選出されたメジャーリーガー5人が宮崎強化合宿に参加するために求められていた保険料について、NPB側は大筋の諸問題をクリア。見積もりを申請していた保険会社から回答があったとみられ、すでにNPB側は12球団とともに保険料を全額支払う準備を整えているが、合宿初日からの参加を表明したダルビッシュ以外からは〝朗報〟がなかなか届かない。
ダルビッシュを含めメジャーリーガーは現行の大会ルールで、WBCを運営する「WBCI」の管轄となっていない宮崎(2月25、26日・ソフトバンク戦=サンマリンスタジアム)と名古屋(3月3、4日・中日戦=バンテリンドーム)の侍ジャパン強化試合4戦に出場できないことがネックとなっている。
実際にダルビッシュ本人もツイッター上で「早期合流が難しいのは確かです」とした上で「自分の場合はベテランであるため、パドレスが融通をきかせてくれました」とあくまでも特例であることを強調。音声配信プラットフォーム上ではファンからの問いに応じる形で、他4人の合流に関し「僕と同じ時期には誰も無理なんじゃないかな。球団としては行ってほしくないでしょうね」と現実的な見解を示している。
MLB組の侍メンバーがWBCの本大会以外で出場を容認されている強化試合は「WBCI」の主催となる3月6日の阪神戦、同7日のオリックス戦(いずれも京セラ)のみ。こうした背景と照らし合わせれば、メジャー在籍10年で調整法も熟知しているダルビッシュを除く大谷と鈴木誠也外野手(28=カブス)、吉田正尚外野手(29=レッドソックス)、ラーズ・ヌートバー外野手(25=カージナルス)の4人はそれぞれの所属球団でスプリングトレーニングに参加し、オープン戦出場を重ね、実戦感覚を養うほうがまだメリットは大きい。
4人合流のタイミングは早くても2月下旬、最悪のケースとして3月4日前後にまでずれ込みそうな気配だが、そうなると諸問題も発生してくる。その1つが外野手不足で、チーム側はサポートメンバー招集を検討せざるを得ない事態に陥っている。
侍ジャパン関係者は「もっと深刻になりそうなのは、遅れて合流となりそうなMLB組のコミュニケーション不足。鈴木と吉田の2人は東京五輪でも侍メンバーに入っていたからともかく、2016年秋以来の日本代表となる大谷と初めて日の丸のユニホームを着るヌートバーは今のNPB組をほとんど知らない。チームとしての連係やサインプレーの確認など、4人が時間をかけてこなさなければならない作業は多々ある」と漏らす。
とはいえ先月28日に栗山監督が「(MLB組の早期合流が)ダメだった時の準備もしている」と口にしたように、その対策もキチンと練り上げている。それが「オンラインミーティング」もしくは「オンライン決起集会」の実施プランだ。
チーム周辺には「リモートなら米国でキャンプに参加しているメジャーリーガーと少なくとも顔合わせや意見交換が可能になる。堅苦しいミーティングだけでなく日米の時差も考え、お互いがソフトドリンクを片手に〝飲み会形式〟で野球以外のプライベートトークもできるような環境を作っておけば、たとえMLB組の合流が遅れても親密な関係が作れるはず」との声もある。
その一方、ヌートバーは懸念される他ナインとのコミュニケーション不足について、侍ジャパン関係者に「ワタシハ、ゼンゼンダイジョウブ」と話しているという。
「日本人のお母さんから教わった『君が代』や本格的な日本語を急ピッチで練習しているだけでなく、栗山監督はもちろん、侍ジャパンのメンバーとコーチ陣の顔写真も事前に入手し誰が誰なのか分かるように〝予習〟しているそうだ。『二ホンノタメニガンバリマス』と日本語で言ってくれているし、本当に頼もしい存在ですよ」(前出の関係者)
4人の早期合流がかなわなくても…。侍ジャパンは3大会ぶりの世界一奪回へ全員一丸だ。











