「タカタイチ2人合わせて50周年記念興行」(19日、国立代々木競技場第二体育館)でKOPW保持者・鷹木信悟(40)に挑戦するタイチ(42)が、不退転の決意を明かした。

 大会を直前に控え本紙の取材に応じたタイチは開口一番「なんだあの選考は…」と、16日に発表された東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞にイチャモン。中野たむ&なつぽいの「メルティア」を推薦していた最優秀タッグチームが新日本プロレスのグレート―O―カーン、ジェフ・コブ組に決まったことに物言いをつける。「少女救えばベストタッグ取れんのかって。(オーカーン組は)王者でもないし防衛もしてないし(ワールド)タッグリーグ出てないし、よくそれで名前が出たな。(メルティア)2人が組むまで(の過程)から見てもらいたかった。まあ東スポの誤審はいまに始まったことじゃねえけどな」と吐き捨てた。

 本題はここからだ。記念興行でタイチは鷹木と「鷹木式ラストマン・スタンディング・ランバージャックデスマッチ」のルールでKOPW争奪戦に臨む。自身提案の「30分オールカウントポイントマッチ」がファン投票の末に敗れ「KOPWでしか見られないルールでやりたかったのに、分かってもらえなかったな。ラストマンスタンディングもランバージャックも、プロレスの歴史で過去にやってきたことだからな。無難なルールが選ばれたのは正直がっかりしてるよ」と肩を落としたが、試合では負けられない。鷹木には争奪戦で目下2連敗中とあり不退転の覚悟で臨む。

 そして負けられない最大の理由は、「鈴木軍」が今年限りで解散することが発表されたことだ。タイチは2011年5月の発足から一度も離れることなく、ボス・鈴木みのると行動をともにしてきた。実は今回、鷹木に拒否されながらも執拗に食い下がって挑戦にこぎつけた裏には、ユニットの解散を控えているという事情があった。

「なんでそんなに挑戦したいのかって、やっぱり鈴木軍が解散するからっていうのは頭にあったよ。あの段階から打診は来てて、俺もいろいろ考えて…。手ぶらじゃ解散できないでしょっていうのもあって。今年、これと言ってなにも残せなかったし。このまま解散していくんじゃ、新しい旅に出るにもどこに行けばいいか分からなくなるし」

 みのるは解散理由の一つとして「もう俺の助けなんかいらねえじゃねえか。強えじゃねえか、みんな」と語っていた。結成当初から最後まで一度も離れることなく活動した唯一のメンバーであるタイチは、誰よりもその言葉の重みを知っている。「『解散してよかった』って安心(させる)じゃないけど、あの人の気持ちにこたえたいっていうのはある」と言い切った。

 解散後の各メンバーの動向にも注目が集まるが、タイチはまったくの白紙を強調。「これで勝てれば今の軍団のなかで、来年以降もタイチとやろうってヤツがいるかもしれないし。他のとこ行く考えはいまのとこないけど、誰かが手を差し伸べてくる可能性もあるだろうし。19日の結果次第でやっと考えようかなってとこだな」と語るにとどまった。

 新日本の年内最終戦(23日、後楽園)では「鈴木軍ファイナル」としてタイチ、ザック・セイバーJr.、金丸義信、DOUKI組と、みのる、ランス・アーチャー、エル・デスペラード、TAKAみちのく組による8人タッグマッチも決定した。タイチはこの11年間で強くなった〝証し〟として、KOPWのトロフィーを持参するつもりだ。