昨年10月にDeNAを戦力外となり、今季はメキシカンリーグで1シーズンを戦った乙坂智外野手(28)が、メジャーリーガーを目指しての奮闘を続けている。昨年の週刊誌報道で世間の厳しい目にさらされた男は、何を思い、海の向こうで野球を続けてきたのか。コラムニスト・楊枝秀基氏の取材を受け、現在の心境について語った。
【乙坂智インタビュー・前編】今季の乙坂は同国リーグでディアブロス・デ・ロホス、ブラボス・デ・レオン、サラペロス・デ・サルティージョの3球団に所属。ディアブロスでは開幕直前にロースター漏れし、出場機会はなかったが、レオンとサルティージョでは「1番・中堅」のレギュラーとして活躍した。
計78試合で打率3割6分7厘、112安打、3本塁打、25打点、26盗塁、79得点の活躍。MLB傘下3Aに相当する同リーグで結果を出し、現在はよりレベルの高いベネズエラ・ウインターリーグのブラボス・デ・マルガリータでプレーしている。
それでも「手応えというより、危機感の方が強い。すごくいい選手がたくさんいましたが、それでもメジャーでは実績を残せていない。これでも通用しないんだという印象が強く残っています」と表情を引き締める。
今の目標はMLB入りではなく、大リーグで活躍することだ。
「厳しい道だとは分かっています。『お前なんか無理、やめろ』と思われていたとしても、それがあきらめる理由にはならない。自分がどうしてもやりたいことなんで」
乙坂の意志は固い。そして、この覚悟は昨年のある〝事件〟を経て、強固なものとなっている。
2021年6月12日、イースタン・西武戦で左足に死球を受けた。その後、同月下旬にNPBの新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに基づく球団ルールに反し、不要不急の外出、外食をしていたと一部週刊誌で報じられた。
厳重注意を受け、自宅謹慎処分。そのまま一軍昇格することなく、10月に戦力外通告を受けた。この行動、報道が一因となったかは不明だが、ユニホームを脱ぐことになったのは事実だった。
「勝負と思って臨んだシーズン。けがをしてしまい気持ちが緩んだというのも正直あった。女性と一緒に帰宅したとか、練習に遅刻したという内容は事実ではなかったのですが、ああいうふうに書かれても何も言えないような行動だった」と今も深く反省している。
ただ、失ったことばかりではない。失敗から多くを学び、前を向いて歩き出している。
「あれがなければ多分、僕は変わることができなかった。僕の行動でたくさんの応援してくれた人を悲しませた。すごく勉強になったし、たくさんの人に支えられていることも実感した」
すべてを受け止め、大好きな野球に純粋に向き合うことを決めた。2月にはMLB春季キャンプに招待選手として参加する。乙坂は現在、その目標に向かい夢中で白球を追いかけている。












