元文科事務次官の前川喜平氏(67)が市民団体「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」から次期NHK会長候補に推薦されたことを受け、4日、国会内で会見し、会長就任へ意欲を見せた。

 
 同会はNHKの会長が5期15年にわたって、官邸の意向をくんだ財界出身者が就任し、政権に忖度するなどNHKの自主・自立性に歪みが出ていることを問題視。来年1月の任期で、続投に意欲を見せていない前田晃伸会長(77)の後任に前川氏が適任として、署名運動を行っている。

 同会の推薦に応じた前川氏は「NHKの会長に就任した暁には、憲法と放送法を遵守して、市民とともにあるNHK、そして不偏不党で、真実のみを重視するNHKのあり方を追求していきたい。そのためには番組の編集、報道にあたって、完全な自由が保障されないといけない」と訴えた。

 NHKは受信料引き下げやテレビ離れによる公共放送のあり方を問われるなど、改革の必要性を迫られているが、前川氏は「憲法、放送法を軸として、単に経済合理性を求めるものではない。政府の言いなりになる改革はやるべきではない」とあくまでNHKは自律的な組織であるべきと説いた。

 NHK会長人事は12人の委員で構成される経営委員会で、9人以上の議決で任命される。前田氏の後任を巡っては、まだ有力候補の名前は出ていない。