プロ野球のドラフト会議が20日に都内のホテルで行われた。今年は9球団がドラフト1位指名を事前公表するという異例の展開となり、1位で競合した浅野翔吾外野手(高松商)は巨人が、荘司康誠投手(立大)は楽天が交渉権獲得に成功した。では、全体的に指名に成功した球団はどこなのか。そして思うようにいかなかった球団は…。元ロッテスカウトで本紙評論家の得津高宏氏が、恒例となった「ドラフト診断」でズバリ指摘した。

 今年も将来有望な選手たちがドラフト会議で指名されました。各球団のスカウトたちも、とりあえずは一息ついていることだと思います。指名した選手たちが、将来的にどんな選手に成長するかはまったくの未知数なところはありますが、あくまで「現時点で」評価の高い選手をどれだけ取れたか。全体的な指名バランスや各球団のチーム事情なども含めて、チェックしていきたいと思います。

 私が今年のドラフトで「一番いい指名をしたな」と感じたのは楽天です。1位で荘司を引き当てたのを含め、即戦力の投手を5人指名。先発投手陣が高齢化しているというチーム事情を踏まえた明確な狙いが見えました。ドラフトの優先順位はとにかく投手です。レギュラーポジションが各1人の野手とは違い、投手は何人いても困らない。ここまで投手に絞ったドラフトもすがすがしいですし、来季の成績に直結するわけですから現場の石井監督としては大満足のドラフトだったのでは。

 次に評価したのは日本ハムです。1位の矢沢は二刀流で話題ですが、2位で1位クラスの評価だった即戦力右腕・金村(富士大)を取れたのが大きい。奇をてらうことなく、ウエーバー順の利をきっちり生かしました。

 浅野を引き当てた巨人もいいですね。1位、2位と外野手を続けましたが、2位で慶大の萩尾を指名したのは好感です。これまでの巨人は原監督に配慮してか、東海大系列の選手の指名が多かったのですが、あまりに偏りが続くとスカウトの間でも「もういいよ」となってしまう。先のことも考えてのことなのでしょう。

 広島は指名バランスが素晴らしい。将来が楽しみな高校生を1位、2位で並べ、現場が欲しがる即戦力の投手を3位、5位、6位できっちりカバー。新井監督も文句ナシでしょう。昔から〝名より実〟の社会人選手は、下位でうまく指名するパターンが〝ドラフト巧者〟の球団のやり方でしたが、今年の広島はまさに「うまいドラフト」だったと思います。

 ロッテ、阪神、西武、DeNA、オリックス、ヤクルトの6球団は「まずまず」のB評価としました。ロッテの補強ポイントは投手と内野手。ほしかった左投手は一人確保できましたが、もう一人ぐらいはほしかったなと。阪神は1位を外しましたが、外れ1位で森下(中大)を取れてむしろよかったのでは。いきなり1年目からレギュラーで活躍できる選手だと思います。西武1位の蛭間(早大)もいきなりレギュラーでいけるでしょうね。5位の山田(近江)は打者としても楽しみです。DeNAとオリックスは、ここ数年いいドラフトが続いていますが、今年もよかったと思います。特にオリックス1位の曽谷(白鷗大)は、宮城、田嶋と左腕王国を形成しそうです。ヤクルトは2位、3位で外野手を並べました。いい選手には違いないし補強ポイントでもあるのでしょうが、もう少し投手がほしかったように思います。

 ちょっと物足りなさを感じてしまったのはソフトバンク。今年も将来性を重視した指名で、育成でもかなり多くの選手を指名(14人)したように、来季からの四軍制を想定しているのかなと感じました。完全に「即戦力」というより「育成」にシフトしている感じ。他球団とは別な次元でドラフトをしているような感じを受けました。

 最後に中日ですが…。立浪監督は私の高校の後輩でもあるのですが、最下位のチームのドラフトとしては、ちょっと残念でした。内訳は投手2人、内野手4人、捕手1人。思わず「そんなに内野手ばかり取ってどうするんだ?」と言いたくなってしまいました。去年のドラフトでは投手の指名は1人だけ。今年は1位で大学生の投手を指名できましたが、3位の高校生投手と合わせて投手2人だけでした。最下位のチームこそ、即戦力投手を多く指名したいところ。ドラフト以外で大きな補強をしてくれればいいのですが、心を鬼にして評価を下げさせてもらいました。

【得津氏の評価】
S=楽天
A=日本ハム、巨人、広島
B=ロッテ、阪神、西武、DeNA、オリックス、ヤクルト
C=ソフトバンク
D=中日