「ナシを食べれば小便、リンゴを食べれば大便」というフレーズは、ヨーロッパの医学を、1000年以上にわたりリードしてきたイタリアのサレルノの医学校の教科書にある言葉だ。

 ナシもリンゴもバラ科の植物。

 中国の古書には「ナシは大小便を利し、熱を去り、渇を止め、痰を開き、酒毒を解す」とあり、「百果の宗」と呼ばれていた。

 一方、リンゴは“An apple a day keeps a doctor away”(1日1個のリンゴは医者を遠ざける)という英国の諺がある如く、万病の予防に役立つ。

「リンゴは、便秘にも下痢にも効く」とされるのは、リンゴに含まれる「ペクチン」(食物繊維)の健胃・整腸作用に負うところが大である。

 最近は腸が健康増進・病気治癒力に甚大な力を発揮していることが多数の論文で裏付けられている。

 食物繊維が、腸の中に約百種類、百兆個も生棲する腸内細菌のうち、ビフィズス菌や乳酸菌などの餌となり、棲家となり、そうした善玉菌の増殖を助ける。

 こうした善玉菌は、種々のビタミンを生成し、発ガン物資を解毒し、腸に体全体の70%が存在するというリンパ球を刺激して、免疫力を上げて病気を防ぎ、治癒力を益す。つまり、長い間の英国人の経験からきた諺の正しさが証明されたことになる。

「大便」は前日の身体、精神の状態を表す「大きな便り」(big letter)であり、「小便」はその日の心身の状態を表す「小さな便り」(small letter)である。大小便の排泄を促すリンゴ、ナシの健康増進効果は計り知れないのである。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は生島ヒロシ氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)。