いったい誰が引き継ぐのか――。参院選の選挙運動中に凶弾に倒れた安倍元首相の葬儀を12日に終えたことで、党内最大派閥の安倍派(清和会)の後継争いが実質、スタートした。有力候補がいない横一線状態で混乱は必死だ。

 東京・港区の増上寺で営まれた葬儀後、安倍氏を乗せたひつぎは、ゆかりの地である自民党本部や首相官邸、国会議事堂をめぐり、品川区内の斎場で火葬された。

 そうしたなか永田町内では、「誰がポスト安倍になるのか?」との話題でもちきりだ。「まだ表立って話はできないが、腹の探り合いで、後継争いが水面下で繰り広げられている」と議員秘書は話す。

 名前が挙がっているのは萩生田光一経産相(58)、下村博文元文相(68)、世耕弘成参院幹事長(59)、西村康稔元経済再生相(59)、福田達夫総務会長(55)らだ。

「都連会長を務める萩生田氏と元都連会長の下村氏が意欲があるとされ、頭一つ抜け出しているように見えるが、ともに人望が薄い。この2人がトップになるようなら分裂も視野に入ってくる。調整型で現派閥の会長代理でもある塩谷立元文科相が推される可能性が高い」(自民党関係者)

 またこんなサプライズプランもある。

「細田博之衆院議長が議長を辞めて党に戻って、当面の間、派閥を収めるという意見が出ている」(同)

 細田氏は昨年、衆院議長就任に伴い、清和会会長を退任して安倍氏が引き継いだ。女性記者へのセクハラ疑惑の渦中にあるだけに意外な気もするが、急場をしのぐのには適任との見方もある。

 11日に民放のテレビ番組に出演した世耕氏は、会長への意欲を聞かれたが、「ともかく一致団結を優先させたい」と語るにとどまった。

 清和会は、安倍氏の父親である晋太郎氏が会長在任中に死去した際も後継争いで分裂した苦い過去がある。強力なカリスマを失ったことで、まずは分裂を避ける方策が第一とされるが、波乱含みの状況であることは間違いない。