第一線を退いたアスリートの行く末は――。元新体操日本代表で2017年ミス・ユニバース日本大会4位の小西夏生(29)が引退した選手のセカンドキャリアを後押しすべく、新境地を切り開いている。
8歳で新体操を始めた小西は手足の長い天性の体躯に恵まれ、小学校高学年から頭角を現した。週末に地元・三重から新体操の強豪イオン(千葉)へ通う生活を続け、中学2年でついに親元を離れて入寮。週6回の厳しい練習に加え、合宿に遠征と新体操一色となった。
全日本高校選抜の個人優勝、アジア大会銅メダルなどの実績を残し、2008年北京五輪と12年ロンドン五輪の強化指定選手に入った。しかし、夢の五輪出場はかなわず、流通経済大の卒業と同時に現役引退を決めた。
青春時代のすべてを新体操にささげ、過酷な練習を耐え抜いた小西。「修学旅行も行けず、深夜まで続く練習の毎日。何度も辞めようと思った」。それでも競技を続け、大きな財産を得たのも事実だ。
「五輪に出場できる選手は一握り。私は夢をつかめなかったけど、新体操を通して人生を学べた。努力したから見えた世界もあった。すべては今につながっていると思います」
引退から8年が経過。現在は指導者として活動しているが、その一方で現役を退いたアスリートのセカンドキャリアの仕組み作りに励んでいる。「指導者だけでは食べていけない。新体操の経験を生かして仕事できる場所があれば、安心して競技に打ち込める」。試合会場の物販、レオタード作製、合宿や遠征スタッフなど「何らかの形で新体操に携われれば」と模索している。
現在、日本オリンピック委員会(JOC)には現役アスリートの就職を支援する「アスナビ」の制度があり、多くの選手を一般企業に送り込んでいる。だが、小西が掲げる理想形は「競技経験を生かす」ことだ。すでに子供たちを指導する新体操教室は法人化されており、その土台を強固にして次のステップに進む。
「やっぱり新体操といえばリボン。イベントのバックダンサーがリボンを披露したり、リボンを使った新しいエクササイズを確立して教室を作ったり。日常生活に新体操の要素を取り入れていきたいですね」
昨年は東京パラリンピックの閉会式に出演。世界選手権(福岡・北九州市)では大会ポスターのモデルに起用され、美しい「I字バランス」で話題を集めた。また、演劇とスポーツが融合した舞台「星の王子さま」(18~19日、神奈川・大和市のやまと芸術文化ホール)では元体操選手やプロバトントワラーらと新しいエンタメにもチャレンジしている。
人生を懸けて戦ってきた人たちが報われる日々――。そんな未来像を求め、小西の挑戦は続く。












