【赤坂英一「赤ペン!!」】「危機感です。いくら点を取っても、安心してはいけないという危機感。これを選手に意識させていることが一番大きい」

 広島・石井打撃コーチはそう語る。チーム打率2割7分3厘、55本塁打、273得点(30日現在)と打撃部門すべてで12球団トップの破壊力を誇る“ビッグレッドマシンガン打線”。これほど打てるようになった理由は何なのか?

「何より選手が常に危機感を抱いていることです」と石井コーチは強調する。

「いくら打ってるといっても、試合は決して楽に勝ててるわけじゃない。序盤に大量リードしたのに、後半にひっくり返されて逆転負けした試合もある。そんな試合の後はもう1点取っていたらとか、追加点が取れればとか言われる。だから、チャンスは貪欲にモノにしろよ、と選手たちにはいつも言ってるんです」

 その最たる例が「巨人戦で今季一番の快勝」と言われた24日の試合だ。ジョンソンの4安打完封で6―0の完勝ながら、ジョンソン自身は4―0だった7回無死一、二塁のピンチを招いたことを反省。「あそこで打たれたら流れが変わる可能性もあった」と語った。

 石井コーチは言う。

「そういう展開になる前に打線がリードを広げておかなきゃならなかったんです。あの試合は2回の先制点、4回の2点目を取った後と、2度も走者を出したのに追加点が取れていない。もう一押しをしたい場面で畳みかけられなかった。今後はそこを改善したい」

 ちなみに、その24日の試合、2度の追加点のチャンスで凡退したのは捕手の石原だった。そこで石井コーチは、石原を試合前のフリー打撃から外し、ベンチ裏のミラールームで徹底指導。緒方監督も打力に勝る磯村に先発マスクをかぶらせるなど、なお一層の得点力アップを図っている。

 好調なうちに打つべき手を打っておく。新井が休養する試合で“代理4番”に抜てきされ、打率3割4分2厘、5本塁打、17打点と活躍している松山も、石井コーチが目をつけていたのは早くもオープン戦中だった。

「新井はシーズン通して使うのが難しい。松山はずっと代打のイメージが強かったけどオープン戦では4打席立たせたらいい打撃をしてたんですよ。いけると思った」

 そう語る石井コーチにとって最も理想的な試合は「1―0で勝つ試合。打線が1点をもぎ取り、その1点を投手陣が守りきる試合」という。それができたら、広島は本格的に首位を走り始める。