【知って納得! 初耳講座】長引くコロナ禍で医療機関に足を運ぶ機会が減少し、健康診断の受診を控える人が増えている。そんな中、脚光を浴びているのが、自宅で受ける人間ドック。生活習慣病をはじめ、がん、認知症などのリスクをチェックする在宅検診サービスを取材した。

「新型コロナウイルスで医療現場が逼迫する中、健康診断は不要不急じゃないと思うので、今年度は受診を見送るつもり」(40代・会社員)

「一昨年の人間ドックで要再検査だったが、感染が怖いからコロナが終息するまで行かなくても、急に悪化しないでしょ」(50代・自営業)

 アナタもそんなふうに、健康診断や人間ドックの受診を先送りにしていないだろうか?

 30~50代の働き盛り世代の男性ほど、仕事で多忙なこともあり、健康管理をおろそかにしがち。

【おうちでドック】そこで注目されているのが、在宅検診サービス「おうちでドック」だ。ヘルスケアベンチャーのハルメク・ベンチャーズ㈱が提供するがんや生活習慣病の郵送型検査で、2017年11月の発売以来、検査件数が累計7万件を突破。コロナ禍で利用者が約2倍に増え、自宅で簡単に健康状態を把握できると好評なのだ。

 同社の調査によれば、健康診断を2年以内に受診した人は全体の57%で、そのうちの54%が「コロナ禍での受診は控える、控えた」と回答。その理由としては「院内感染のリスクがある」が89%で最も多く、コロナが受診意向に大きな影響を与えていることがわかった。

「コロナの影響で個人の受診マインドは冷え込み傾向にあり、がん検診の受診率が激減しています」というのは、同社の松尾尚英代表取締役社長。そもそも日本のがん検診の受診率は低く、日本対がん協会によるとコロナ禍のがん検診の受診率は20年4月は前年比で15%、5月は8%にまで減り、通年で3~4割減になる見通しだ。

「生活習慣病などを予防する健康診断でも、受診者数が3割以上減少していることが明らかになっていて、数年後にはがんや生活習慣病を患う人が急増する懸念があります」と松尾氏は警鐘を鳴らす。

 病院に行かずに自宅でできる「おうちでドック」は、数滴の血液と尿でがんや生活習慣病のリスクチェックが、病院と同等の検査水準で実施可能な“在宅型人間ドック”。自分で血液採取とはやや不安だが、指先に針を刺して、出てきた血液をスポンジに吸わせるだけ。チクッとする程度なので、思ったより痛みはないという反応が多いとか。

 検査は血液約10分、尿約3分程度で、あとは郵送すれば2週間後に検査結果が自宅に届く。あまりに簡単で心配なほどだが、病院と同じ生化学検査、がんマーカー検査、胃がんリスクABC検査を実施しており、病院と同等の検査精度だ。

「従来の郵便型検査との違いは、複数企業の検査が可能で自分で選べるのと、アフターフォローの充実です」(松尾氏)

 チェックできる疾患は、生活習慣病(動脈硬化、糖尿病、腎疾患、肝臓疾患、脂質代謝異常、高血圧、痛風、尿路結石、肥満度、栄養障害)、がん(大腸がん、食道がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、子宮がん)で、検査したい項目に合わせて全部で7種類のキットから選ぶことができる。

 一番人気は男女ともにがんと生活習慣病の両方を検査できる「おうちでドック」(税別1万9800円)で、胃がんに特化した「おうちでドック 胃がんリスクチェック」(同1万円)なども…。

 さらに特筆すべきは、従来の郵送型検査に比べ、アフターフォローが格段に充実していること。「ハルメク健康サポート」として、医師による検査結果の健康相談電話、医師紹介サービス、看護師による健康相談チャットを、一定期間無料で利用できる。

 育児中や海外駐在の医師や看護師などをネットワーク化することにより、普段は医療現場に立つことのない在宅医師の空き時間をタイムシェアして、利用者とマッチングすることで、無料での相談を可能にした。

【おうちで認知機能チェック】2020年10月に発表されるや否や話題なのが、日本初となる検査負担ゼロの認知機能リスクチェックサービス「おうちで認知機能チェック」だ。

 酒谷薫東京大学特任教授が日本大学教授時の研究・発明をベースに事業化したもので、会社や自治体などの健康診断で行った血液検査の結果を入力することにより、認知機能の判定が届く。

 検診データを深層学習し、認知症のスクリーニングテストとして世界的に活用されている“MMSE”を推定することで、認知症リスクを3段階で提示する。

 自らのリスクに気付いていない健常者に対して早期リスクアラートを行い、適切な受診を勧奨することが可能になる。

 1検査1000~2000円程度と安価なのも魅力で、すぐにでも検査したいところだが、現在は事業者経由のみで、個人での利用は準備中とのことなので、会社が導入してくれるように働きかけてみては?

【N―NOSE】一方、世界で初めて“線虫”でがんリスク検査をできるのが、㈱HIROTSUバイオサイエンスが提供する、がんの1次スクリーニング「N―NOSE(エヌノーズ)」。

 犬の約1・5倍の嗅覚受容体遺伝子を持つ微生物・線虫が、がん患者特有のにおいに反応する性質を利用したもので、がん患者の尿に集まり、健常者の尿からは逃げるため、感度86・3%という高精度でがんリスクを見分けられることが明らかになっている。

 わずか1滴の尿から、胃、大腸、肺、乳房、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆のう、胆管、腎臓、膀胱、卵巣、口腔・咽頭と、全身15種類のがんリスクを判定可能で、ステージ0、1の早期がんにも線虫は反応する。

 2月27日からハルメク・ベンチャーズ㈱が、同検査に健康相談、医師紹介サービスを付帯し、「N―NOSE 健康サポートプラス」(税別1万2500円)として通販での販売を開始していて、さらなる認知・利用拡大の一助となりそう。

 ただし、「N―NOSE」は郵送には対応しておらず、検査受付場に持ち込む必要があるので注意が必要だ。