【取材の裏側 現場ノート】東京・後楽園ホール60周年を記念して開催されるプロレス興行「還暦祭」(15、16日)を前に、出場選手を取材する機会があった。

 そこで印象的だったのが「後楽園ホールは観客の視線や反応が独特」と選手が口をそろえた点だ。かねて耳にすることもあったこの説だが、せっかくの機会なので改めて選手たちに聞くと興味深い声が聞かれた。

 まずは全日本の3冠ヘビー級王者・宮原健斗はやはり「いい試合をすればいい反応が返ってくるし。そうでなければウンともスンとも言わないこともある。反応がダイレクトに来る場所ですよね」と指摘。「いろんな団体を見るファンが集まるからかもしれないですね。毎回試されるような感覚があります」と分析した。宮原は、そんな環境が自身の成長につながったといい「(2016年に)初めてチャンピオンになった時、最初の頃は『こいつ大丈夫かよ』みたいな雰囲気を感じました。それが徐々に、健斗コールが大きくなって行くのを実感しました」と力説する。

 女子プロレス「OZアカデミー」の尾崎魔弓も「純粋に『楽しむ』というよりは玄人目なファンが多いように感じますね」と続く。さらに「それと、その団体の人気だけじゃなくて、業界全体の盛り上がりが(動員に)直結する印象ですね」と話した。業界全体の人気のバロメーターにもなるという。

 そんな中、意外な見解を示したのが女子プロレス「WAVE」の野崎渚だ。「後楽園ってほかの会場と比べて客席が明るいので、リング上からお客さんの顔がはっきり見えるんですよ。だからこそ、お客さんが何を見ているのかよくわかるし。逆に寝てるのもすぐわかります(笑い)」

 リングに上がっている選手だからこそのコメントだが「自分がやったことへの反応が分かりやすいので面白いですね。私『おしゃれキック』って技があるんですけど、あれは後楽園ホールでやって反応が良かったから『これは必ず試合で入れよう』っていうふうに変わりましたから」と明かした。

 各レスラーに多大な影響を与えてきた聖地・後楽園ホール。これからも多くの名勝負やスターを生んでいくことは間違いなさそうだ。

(プロレス担当・前田 聡)