〝二刀流〟がいきなり魅せた。北京パラリンピックアルペンスキー女子滑降座位(5日、国家アルペンセンター)で日本選手団主将の村岡桃佳(25=トヨタ自動車)が、今大会日本勢第1号となる金メダルを獲得。前回の平昌大会の大回転に続き、自身2個目の金となった。

 平昌パラリンピックでは金を含む、5つのメダルを奪取。脚光を浴びた一方で「勝って当然」との視線に「スキーがつらくなった」と恐怖心を抱いたこともある。そこで新たな挑戦を決意。「陸上競技にもう1回真剣に取り組んでチャレンジをしてみたい」。スキーとの〝二刀流〟で自国開催の東京パラリンピック出場を目指す戦いが始まった。

 ところが、新型コロナウイルス禍の影響で東京パラリンピックは1年延期となった。2019年春から本格的に取り組んできた陸上を諦め「スキーに専念した方がいいのでは?」との声も聞かれたが、村岡は「可能性がある限りは続けたい」と退路を断った。そして、東京パラリンピックでは女子100メートル(T54)で悲願の決勝進出。「2年半つらくて苦しかったけど、すごく楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。

 約半年後の北京パラリンピックまで残された時間はわずかだった。しかし、陸上に取り組んだことでバランス感覚が向上。滑りに安定感が増した。「東京パラで決勝に進めたことでやっとスタートに立てたと思う。二刀流の集大成として位置付けている北京パラの目標としてはメダル獲得を目指していきたい」。1月中旬に右ヒジの靱帯を痛め、約3週間ほど雪上練習ができなかったものの、きっちり本番に合わせてきたのが女王の証し。残すは4種目。さらなる歴史を刻む覚悟はできている。