巨人が9日のDeNA戦(東京ドーム)に5―2で快勝した。約2か月ぶりに一軍復帰したルイス・クルーズ内野手(32)が2回に7号先制2ランを放ってチームを勢いづかせれば、先発の内海哲也投手(34)も7回を3安打2失点で今季7勝目。首位を走る広島とのゲーム差は5・5のままだが、本拠地・東京ドームでの直接対決が残り6試合あり、チームは「逆転は十分可能」とソロバンをはじいている。その皮算用とは――。

 左足首痛で長期戦線離脱に追い込まれていたクルーズが、この日から一軍再昇格。「7番・二塁」で先発出場すると、2回一死一塁の第1打席で久保康の変化球をとらえて左翼3階席へ叩き込んだ。さらにこの回一挙合計5得点を奪うと、先発した内海も攻撃陣の援護を得て好投。長らく戦列を離れていた新助っ人、そして昨季2勝止まりのベテラン左腕がともに「完全復活」を印象付けた。

 高橋由伸監督(41)は「(7連勝がストップした7日の広島戦で)負けた後のゲームで勝てたのは大きい。また明日もキッチリした試合ができればいい」と満足げに振り返った。

 首位・広島が阪神に勝ったためゲーム差は変わらず5・5。最大で11あったゲーム差をたった2週間ほどで半減させたとはいえ、決してまだ楽観できるような数字ではないはず。それでもチーム内では「今月23日から始まる広島との直接対決3連戦(東京ドーム)を迎える時点で最悪6ゲーム以上離されていなければ、ウチがひっくり返せる」という声が出ている。

 その“根拠”は広島戦の残り7試合のうち、東京ドームでのホームゲームが6試合も残っている点だ。これまで東京ドームの広島戦は今季を除く過去5シーズン(2011~15年)で実に34勝16敗3分けと圧倒しており、今季も4勝1敗と白星を先行させている。巨人にとって東京ドームで戦う広島は、いわば「お得意様」であり「今季も残り6戦全勝できる」と踏み、絶対的な自信を見せているのだ。

 広島が東京ドームを苦手にしている理由を、チーム関係者はこう指摘する。「本拠地のマツダスタジアムよりも東京ドームの左中間・右中間がそれぞれ6メートルほど狭い。だからカープの投手陣は一発を浴びることを警戒して慎重になり過ぎるあまりにボールを置きにいく投球になって甘く入り、痛打を浴びる。そういう傾向があるのかもしれない。ただそれ以上にカープの選手たちが東京ドーム独特の雰囲気にのまれ、自滅してくれるような形になってくれるところも大きい」

 加えて広島よりも残り試合が4つ多いことを考えれば「最終的に1~2ゲーム差は縮められる」(チーム関係者)という。しかし、今季の広島が9日現在で12球団トップのチーム打率2割7分4厘を誇るなど、昔と比べて「別物」になっているところは巨人にとっても気がかりなはず。計算通りに「リメークドラマ」となるか。