【中国・張家口発】〝金銀メダリスト〟活躍の要因とは――。12日に行われた北京五輪スキージャンプ男子ラージヒル(LH)で、日本のエース・小林陵侑(25=土屋ホーム)が銀メダルを獲得。ノーマルヒル(NH)の金メダルに続く史上4人目の「個人2冠」は幻となったが、日本勢の個人2種目メダルは1998年長野五輪の船木和喜(LH金、NH銀)以来2人目の快挙だ。偉業を成し遂げた、小林陵の高校時代の恩師が「陵侑成長物語」を本紙に明かした。
目前に迫った〝個人2冠〟はお預けとなった。1回目でトップに立った小林陵だったが、2回目に大ジャンプを披露したリンビク(ノルウェー)の合計点数を上回ることができなかった。最後に逆転を許し「難しいですね。すごくうれしい気持ちと金メダルを逃したことにちょっと悔しい気持ち」と複雑な心境を吐露した。
それでも日本勢の個人2種目メダルは24年ぶりの快挙。頂点ではなくても2度目の表彰台に立ち「普段のW杯からそうですけど、安定したパフォーマンスができたんじゃないかなと思います」と納得の表情だった。
今季はW杯個人3戦目に初勝利を挙げるなど序盤から好調で、伝統のジャンプ週間では3季ぶり2度目の総合優勝。大会前、母校・盛岡中央高の伊東雄一監督は「安定感があるように感じますよね。常によくないジャンプでも大きく崩れない」と分析していた。実際にLHでは不本意な内容だった予選9位に引きずられることなく、本番で優勝争いを演じている。
こうした活躍の要因は何なのか。伊東監督は「大人になった。ひと言でいうと、それだと思います」と話し、〝Wメダリスト〟の成長を次のように明かした。
「結構、高校時代から他力本願的というか、場当たり的に動いていたんだけども、社会人になってそれではうまくいかないときもあったんじゃないですかね。次男というのもあって、当時は誰か助けてくれるだろうとか、そういう印象を受けたり、甘えの部分もあるような気がしていましたけど、今はそういった部分がなくなってきて精神的に安定しているのかなと思いますね」
伊東監督が「自信に満ちあふれている」と感じたのは昨年夏のことだった。小林陵が故郷・岩手で東京五輪の聖火ランナーを務めたタイミングで母校に凱旋訪問。「まだ北京の代表には決まっていなかったんですけど、全校生徒の前で意気込みを語ってもらったんです。そこでは、すごく調子がいいので期待していてくださいと。今思えば今季は本人の中でも違ったのでしょう」と振り返る。
全校生徒を前にしたのは前回の平昌五輪前も同様だったが「今までは軽いノリだったり、雰囲気とか勢いで言っていたんですけど、今回はこういう練習をしてきたからとか、練習がちゃんとできているからとかすごく分かりやすかった。質疑応答にもあわてず、アスリートとして4年分の積み重ねがあるのかなと思いました」(伊東監督)
精神的な成長は所属の土屋ホームからも聞くという。伊東監督は「マネジャーの岡本(邦孝)さんが『陵侑、だいぶ大人になってきましたよ』と。会社の中でそういう話になっているんだと思います」とニッコリ。小林陵がNHで金メダルを獲得した際、会場にいた岡本氏に向かって「岡本さ~ん、岡本さ~ん」と叫んでいたのは記憶に新しい。
技術はもちろんのこと、人間としても磨きがかかった25歳。14日の団体でもメダルを手にして有終の美を飾るつもりだ。












