まさに〝Z戦士〟だ。北京五輪のスキージャンプ男子ラージヒル(LH)決勝(12日、国家ジャンプセンター)、日本のエース・小林陵侑(25=土屋ホーム)が合計292・8点で銀メダルを獲得。史上4人目の個人2冠は逃したものの、ノーマルヒル(NH)金メダルに続いて表彰台に立った。そんなWメダリストは高校時代からブレない芯を持っていたという――。


 今大会2個目のメダルは複雑な〝味〟だった。1回目を終えてトップに立った小林陵だったが、2回目にマリウス・リノビク(ノルウェー)に逆転を許し、目前に迫った偉業が幻に消えた。試合後の感想は「難しいですね。すごくうれしい気持ちと金メダルを逃したことにちょっと悔しい気持ち」。

 前日の予選は9位。そこから感覚を研ぎ澄まして「いいパフォーマンスでできた」だけに「リノビク選手がいいジャンプしていたので。今日は負けました」と完敗を認めるしかなかった。

 とはいえ、1998年長野五輪の船木和喜(LH金、NH銀)以来、日本勢2人目となる個人種目複数メダル。2度表彰台に立ち「普段のW杯からそうですけど、安定したパフォーマンスができたんじゃないかなと思います」と納得の表情だった。

 そんな小林陵を「次世代型のアスリートと言うんですかね」と話すのは、母校・盛岡中央高の伊東雄一監督。「インターハイに負けて悔しがることもなかった」と、高校時代から感情を前面に出すタイプではなかったという。

 兄・潤志郎(30=雪印メグミルク)も指導した伊東監督は「兄の場合は努力と根性みたいな昭和的なアスリート感あるんですけど、陵侑の場合はその努力とか根性というのがあんまり見えない感じを受けますね」と2人の対照的な一面を明かす。

 岩手の高校はほとんどがジャンプとクロスカントリーの複合の選手として競技を行うことから、小林陵もその〝慣例〟に従ったが、伊東監督は「本人はあまり好きじゃなかったと思います。やっぱり本人にも持論があって、走る筋肉と飛ぶ筋肉はちょっと違うみたい。走ることによってつく筋肉がジャンプに影響するという話もしていました。ただ、高校時代はいや応なしに(どちらも)やらされるので、どういう気持ちでやっていたか聞きたいですね」と懐かしそうに語った。

 まさに自ら取捨選択する〝Z世代〟を象徴するアスリート。14日の団体に向けて、小林陵は「みんなそれぞれ課題あると思うので、自分のいいパフォーマンスできるように」。最終種目でも表彰台を狙うつもりだ。