秘めた思いはシーズンの活躍で晴らす――。楽天に新加入した西川遥輝外野手(29)が沖縄・金武町で行われている春季キャンプで精力的な動きを見せている。初日から若手らに走塁のアドバイスを行い、7日には全体練習後に1時間以上の特打を敢行。左中間方向を中心に鋭い当たりを連発した。昨季盗塁王に輝きながら日本ハムを「ノンテンダー」となり、新天地での再出発を余儀なくされたプロ12年生に古巣への思いも含めた現在の心境を聞いた。

 ――キャンプは第2クールに入った。新天地でのキャンプにはもう慣れた

 西川 そうですね。もうだいぶ慣れました。

 ――昨季も含めて盗塁王4回。楽天でも走塁、盗塁が期待されている

 西川 それはありがたいことですけど(キャンプでの)調整自体は例年と変わらないので。場所(古巣のキャンプ地・名護と楽天キャンプ地の金武町)もそんなに変わらないし、シーズン中の相手のマークも変わらないと思います。昨年も警戒されてないわけじゃないですからね(笑い)。その辺は同じです。

 ――日本ハムの選手として見ていた楽天と、チームの一員となっての印象は?

 西川 あまり違いはないと思います。ただ、雰囲気はすごくいいですよ。(日本ハムと比べて)どっちがというのはないんですけど、やりやすいというか。まだ(故障者を含め)交流していない方も何人かいらっしゃるので、そのへんは何とも言えないですけど。今のところ違和感みたいなものは全くないですね。

 ――楽天での練習量は日本ハム時代より増えている感じがする。今キャンプの課題は?

 西川 自分でやるべきことは分かっている。その辺に関して不安とかはないです。やるべきことをやっていけばという感じです。

 ――ところで昨オフは日本ハムからノンテンダーとなり、最終的に楽天入りした。古巣に対してはいろいろな思いがあると思うが、実際のところ今の心境は?

 西川 そこは何ていうか。皆さんが想像している以上に…何も思っていないですよ(笑い)。

 ――「何も思っていない」とは?

 西川 そのへん(ノンテンダーでの移籍)は、もう忘れたというか。日本ハムは「元いた球団」というだけで特別な感情はもうないです。だから例えば日本ハム戦で打とうとか、何かあったから悔しいとか、そういうのは本当になくて。楽天でもやることは同じですし。そのへんは対戦する他の球団への思いと一緒です。

 ――それでも、長年にわたって主力として活躍してきた。それが突然の移籍だった。元同僚や日本ハムの球団関係者の中には西川選手の楽天での動向を見守っている人も多い

 西川 日本ハムへの思いは特別ないですけど、やっぱり一緒にやってきた選手や後輩たちへの思いはあります。『どうしているのかな』とかは思います。最近あまり連絡はしていないですけど、そこはやっぱりありますよ。何人かの選手とは野球の話を中心にしてきましたけど、例えば(吉田)輝星なんかはあれだけいい球を投げているピッチャーなのになんで活躍できないんだろう、と。今も思ったりしますしね。やり方一つかなと思うので。そのへんは例えばロッテだったりホークスだったりの(仲のいい)選手たちとは思い入れは違いますよ。

 ――そんな古巣の選手や後輩への思いを糧に新天地で活躍したい気持ちは強い?

 西川 そうですね。僕も頑張りますし、他の選手、後輩たちも頑張ってほしいというのは常に思っています。

 ――今年の日本ハムはビッグボスこと新庄剛志監督の就任で話題に事欠かない。ネットやSNS等で古巣や後輩の動きだったりをチェックしているのか?

 西川 それほどチェックはしていないし、今のところはそんなに見ていないんです。でも、実際これから試合とかが始まれば嫌でも見ると思いますから。そうなれば自然と、という感じですかね。

 ――最後に改めて、新天地での意気込みは?

 西川 先ほども言いましたけど、やることは一緒なので。しっかり調整して頑張りたいと思います。

【事実上のクビ通告…年俸3分の1に大幅ダウン】日本ハムから球界に衝撃が走ったのは昨年11月16日だった。日本ハムは海外FA権を取得していた西川と、国内FA権を持っていた秋吉亮投手(32)、大田泰示外野手(31)に対して翌年の契約を提示せず、保留手続きを行わないと発表した。

 その際に稲葉篤紀GMが用いた言葉が「ノンテンダー」だった。海外を含めたすべての球団と交渉可能な自由契約で、メジャーでは契約がコストに見合わなくなった場合に用いられる手法。分かりやすく言えば「クビ」である。

 通算75本塁打の大田は複数球団による争奪戦の末、12月20日にDeNA入団を発表。2日後の22日には楽天も西川の獲得を発表したが、年俸は2億4000万円から約3分の1となる8500万円(金額は推定)に大幅ダウンした。通算20勝24敗71セーブ78ホールドの秋吉はNPB球団との契約には至らず、先月31日に国内独立リーグ、日本海オセアンリーグ・福井への入団が発表された。