レスリングの世界選手権(9月、カザフスタン)女子68キロ級に出場するリオ五輪金メダリスト・土性沙羅(24)の壮行会が2日、所属する東新住建によって名古屋市内のホテルで行われた。

 世界選手権でメダルを獲得すれば東京五輪代表に内定する。昨年春に左肩を手術し、可動域の戻りは「80%」という土性だが、報道陣に「勝ちます。オリンピックに行って東京で連覇するつもりで戦いたい」と堂々のV宣言を行った。

 もちろん不安はある。持前のタックルは「まだ怖さがある。気持ちの面ではなかなか行けない」と話し、多い週では3回もリハビリに通う状態。万全にはまだ遠い。だが負けられない理由もある。その最たるものが、同じ会社に所属する先輩・リオ五輪48キロ級女王登坂絵莉(25)の存在だ。

 世界選手権代表選考会を兼ねた6月の全日本選抜50キロ決勝で登坂は敗退し、東京五輪出場は極めて厳しい状況となった。それでも壮行会では伊藤彩香(26)とともに、エールを込めた手紙を朗読。「本音を言えば一緒に世界選手権に行って戦うこと、背中を見せることが一番のエールになったのかもしれないけど、それができない分、この私の気持ちすべて沙羅の応援にぶつけたい。沙羅ならきっと大丈夫」と語りかけた。

 これを聞いた土性は「ありがとうございます。先輩方に本当に支えられて…」とこみ上げる涙を抑えきれなかった。それでも声を震わせながら「一緒にオリンピックに行きたかったんですけど、絶対自分がオリンピックに行って、2人に金メダルをかけられるように。今すごく苦しいですけど、負けずに頑張りたい」と宣言。先輩だけではなくリハビリを支えてくれた家族、会社のためにも表彰台トップで五輪出場を決めたい。