新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否して全豪オープン欠場となったテニス男子の世界ランク1位ノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)に対して、東欧の有名キャスターが〝問題発言〟を行い、大炎上している。

 セルビア紙「Vecernje Novosti」などは「ジョコビッチがCNNのジャーナリストから恥ずべき〝攻撃〟を受け、彼女はその後ノバクのファンからの〝反撃〟にあった」と報道した。

 問題となっているのは、米放送局「CNN」の関連会社でもある東欧諸国をカバーする「N1」でニュース番組のキャスターを務めるアイカ・フェラー・ゴティック氏の発言。自身の公式ツイッター上で「驚くべきことに、ワクチンを接種したスペイン人のナダルはベレッティーニを破り、全豪オープンで6回目となる決勝に進んだ。21回目のグランドスラムのトロフィーを勝ち取れる位置に立っている。その間、ノバク・ジョコビッチは200人の人々と同じスプーンを舐めている」と投稿したのだ。

 同紙によるとジョコビッチは先週末に、セルビア・ベオグラード市内のカレメグダン地区にある聖ペトカ教会で行われた典礼に出席。「ジョコビッチはセルビアの最も偉大な聖人である聖サヴァの饗宴で、聖体拝領を行った」。キリスト教の東方正教会の信徒が多い国では、礼拝の最後に同じスプーンを使ってワインを回し飲みする習慣があり、ゴティック氏はその際の場面を揶揄。ワクチン接種をかたくなに拒否し続けるジョコビッチが、新型コロナ禍で多くの人と同じスプーンを〝舐めまわす〟行為を問題視したのだ。

 ゴティック氏の指摘はもっともではあるが、その反面で宗教儀礼に関することのため一部で宗教差別を指摘する声が噴出。「〝ヘイトスピーチ〟は、彼の信仰を指摘した。彼女は明らかにファンからの多くの攻撃に遭遇した。そのためジャーナリストは『スプーンを舐める』というツイートを削除した」と、ジョコビッチのファンやキリスト教の信者も敵にまわしてしまうことになった。

 ゴティック氏はその後自身のツイッターで「ジョコビッチと彼の危険なコロナ禍での行動についてのツイートを、強制的に削除せざるを得なくなった。誰も私に何かを強制することはないが、子供たちに対する〝新たな虐殺〟に関して、30分で100件の脅迫メッセージを受け取ったという事実を本当に気にしている」と危険な状況を説明。「ジョコビッチ、ファンを管理しなさい!」と悲痛な叫びを上げた。

 ただ〝虐殺〟などの過激な表現が再び非難の的になり、騒動は拡大。ジョコビッチを巡って、差別問題にまで発展してしまいそうだ。