緊急分析 大坂なおみの会見拒否は「ご法度」か?「英断」か?

2021年05月28日 05時15分

大坂なおみ(ロイター)

 前代未聞の決意表明だ。女子テニスの4大大会、全仏オープン(30日開幕、パリ)に臨む世界ランキング2位の大坂なおみ(23=日清食品)が突然、大会中の「会見拒否」をブチ上げた。テニス界では“ご法度”とされる行為だけに、物議を醸すのは必至。いったい、大坂の真意はどこにあるのか。DAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏(50)が緊急分析した。

 突然の表明だった。大坂は27日にツイッターで「アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた。自分を疑うような人の前には出たくない」とつぶやき、全仏オープンの記者会見に応じない意向を表明。さらに「“会見するか、さもなくば罰金だ”と言う統括組織は、選手の心の健康状態を無視している」ともつづり、記者会見を拒否すると罰金が科されるテニス界の制度にも反旗を翻したのだ。

 大舞台を前に不穏な空気が漂うが、佐藤氏は「この決断は支持したいです」と肯定的にとらえている。「会見拒否したことで、むしろ注目を集めるでしょう。もちろん、それも承知の上。自分にプレシャーをかけ、テニスの成績にコミットする覚悟を感じます。よりプレーに集中しようという意味合いも込められていると思いますね」。

 思い出されるのは昨年9月の全米オープンだ。人種差別への抗議として、黒人被害者の名前が入った黒マスクを初戦から決勝まで7パターン用意。自らハードルを上げ、全種類のマスクを披露して優勝を飾った。重圧を力に変えることができた何よりの証しだろう。

 ここ数年で大坂は「オピニオンリーダー」としての言動が増えてきた。自ら矢面に立ち、同じ境遇の周囲を先導する役目を背負っているようにも見える。佐藤氏は「今回も自分が代弁者として制度を変えようという気持ちがあるのでしょう。テニスで結果を残し、コート外でも大きな影響を与える存在になって、自然とそういう意識が生まれたのかもしれません」と指摘。実際、ツイッターでは「敗戦後の会見場で泣き崩れる選手を映像で見てきた」とも記しており、自分が声を上げなければいけない…という意図が読み取れる。

 周囲に波紋を広げる行為ではあるものの、本人は決して冷静さを欠いているわけではない。SNSでは水着写真などをアップし、リラックスした表情が垣間見える。佐藤氏は「今回の投稿にはハートマークもありますし、ネガティブな決断ではなく前向きさを感じますね」とも付け加えた。

 いずれにせよ、自らを追い込んだことで、全仏オープンでは初戦から恥ずかしいプレーはできなくなったことは確か。新たな“大坂劇場”に注目だ。

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