【全米オープン】大坂なおみ 快進撃の秘密を公開「3つの隠れアイテム」

2020年09月10日 11時00分

今大会の大坂はいくつもの思いを抱えてプレーしている(ロイター=USA TODAY)

 秘めた思いがこんなところにも…。女子テニスの世界ランキング9位・大坂なおみ(22=日清食品)が4大大会「全米オープン」で快進撃を続けている。女子シングルス準々決勝で同93位のシェルビー・ロジャース(27=米国)を6―3、6―4で撃破して4強進出し、3度目の4大大会制覇へマジック2とした。今大会は黒人差別抗議の日替わりマスクが大きな話題を呼んでいるが、実は大坂の決意を端的に表すものが存在する。商売道具にちりばめられた3つの“隠れアイテム”とは――。

 今大会は無観客ながら大坂の一挙手一投足に全世界が注目している。圧倒的なプレーもさることながら、人種差別への抗議として着用する黒人被害者の名前入りマスクは連日クローズアップ。決勝に進出すれば、目標とする全7枚のマスク披露はコンプリートとなる。

 大坂は新型コロナウイルス禍の中で自分と向き合い、米国で過熱する黒人差別問題に一石を投じてきた。8月のツアー再開時には「以前の私とは違う人間になった」とも語り、積極的にメッセージを発信。その揺るぎなき決意は人知れず各所に刻まれていた。

 まずはコロナ禍の中断明けから使用している新ラケット。自身がデザインをプロデュースし、フレームは白を基調に大好きなゴールドをあしらっている。グリップからY字に分かれたシャフト内側には「NAOMI」の文字が記されているが、ここが1つ目の象徴だ。従来のラケットには幼少期からのニックネーム「NAO―CHI(なおち)」が入っていたが、ラケットメーカーのヨネックス担当者は「今回から愛称ではなく実名になっています」と説明。名は体を表すというが、堂々と自分の名前を出し、社会問題にも声を上げる覚悟が見え隠れする。

 2つ目は、ラケットケースのベルト(右肩部分)に記されたシルバーのイラストだ。クマが花を持っているロゴが描かれているが、関係者によると「大坂自身が創作したフラワーベアというオリジナルマーク」だという。シャフト内側にもプリントされているが、まさしく大坂が言う「自分らしさ」を体現したマークだ。以前のシャイな自分を捨て、生まれ変わろうという思いが込められているのだろう。

 ちなみに、同箇所には「カンガルー」「自由の女神」のマークも刻印されており、これは制覇した2019年の全豪オープンと18年の全米オープンがモチーフ。大坂は生涯グランドスラムを目指しており、残り2つ(全仏オープン、ウィンブルドン選手権)のマークが入るスペースもきっちり確保。いつの日か「エッフェル塔」や「ビッグベン」をかたどった印が入るのだろうか。

 そして、3つ目はラケットケースのベルト(左肩部分)に入った「KB」のロゴだ。米プロバスケットボール(NBA)のレジェンド、故コービー・ブライアントさん(享年42)を意味する。今年1月にヘリコプター墜落事故で亡くなったコービーさんを心から慕い、リスペクトしていた。彼の死後、レイカーズの選手が右胸につけてプレーした喪章パッチと同じマークだ。

 大坂はNBAのボイコットに触発された経緯もあるように、コービーさんの死は大坂の思想・言動に大きな影響を与えている。思えば昨年の全米オープン2回戦、コービーさんはスタンドから大坂を応援していた。今も大坂の心の中には「KB」が刻まれており、快進撃を支えているのだろう。