【全豪オープン】15歳に屈辱・大坂は立ち直れるか メンタル面ケアだけでは安易

2020年01月25日 16時30分

15歳に大金星を配給し、前年覇者の大坂は3回戦で姿を消した(ロイター)

【オーストラリア・メルボルン発】衝撃の敗戦だ。テニス4大大会初戦の全豪オープン女子シングルス3回戦(24日)で、前年覇者で世界ランキング4位の大坂なおみ(22=日清食品)が同67位の“天才少女”コリ・ガウフ(15=米国)に3―6、4―6のストレートで敗れる大波乱が起きた。連覇を逃しただけではなく、15歳にメンタルを打ち砕かれた上に大会後には世界9位以下への転落が確定。今夏には幼いころから憧れてきた夢舞台の東京五輪が控えるが、日本が誇る金メダル候補は本当に大丈夫なのか? 今後を探った。

 前年女王と超新星――。大会屈指の好カードは全世界のテニスファンから注目を集めた。前回対戦した昨年の全米オープン3回戦では大坂が格の違いを見せつけて圧勝。敗れて号泣するガウフを勝利者インタビューに「一緒に行こう」と誘ったシーンは全米から称賛されたが、今回はまるで立場が逆転した。

 そつなく丁寧にプレーする15歳に対し、大坂はショットのミスを連発。特にバックハンドでのネットが目立ち、敗色濃厚の場面でボレーミスした際には諦めの表情さえ浮かべた。第2セットでマッチポイントを迎えた時はもはや戦意喪失。ストレート負けを食らうと、歓喜に浸るガウフを尻目に泣きだしそうな表情でセンターコートを後にした。

 試合後に大坂は「15歳に負けたくなかった。一度勝っているし、私が勝つと思われていてプレッシャーを感じていた」と胸の内を告白。さらに「まだチャンピオンのメンタリティーを持っていないと思う」と、周囲から課題と言われ続けている精神面の弱さを認めた。

 日本で言えば“高1”に叩きのめされた上に、昨年Vで得た2000ポイントが失効する大会後には世界9位以下への転落が確定。日本のエースはどう立ち直るのか?

 DAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏(47)は「タマゴが先か、ヒヨコが先か…じゃないですが、今の大坂選手はメンタルが先か、戦術が先かといった感じです」と興味深い見解を示す。どういうことか。

「負けるとすぐにメンタルが弱いって言われますが、それは安易です。むしろ戦術面が大きく関係していて、戦い方の引き出しが少ないからパニックになる。大坂選手は焦りだすと早くポイントを取りたがり、スピードボールに頼る。必然的に軌道が低くなってネットに引っかかるという悪循環です」

 時速180キロ台のサーブの破壊力は誰もが認める武器だが、それゆえに「ショットのクオリティーだけで勝負してしまう」と、佐藤氏は戦術のバリエーションの少なさを指摘する。そこでクローズアップされるのが、日本男子のエース錦織圭(30=日清食品)だ。「錦織選手は分析力にたけていて、相手の裏を突く。詰め将棋のようなテニス、多彩な戦術を持っているので、パニックにならないんです」(佐藤氏)

 大坂は今季から新コーチのウィム・フィセッテ氏(39=ベルギー)と契約。同コーチは試合中もしきりにメモを取るなどデータ分析にはたけている。それを踏まえて佐藤氏は「もう連覇というプレッシャーはなくなった。今後はコーチと建設的に自分のテニスをつくっていけば」と前向きにみている。

 15歳にメンタルをボロボロにされた大坂だが、東京五輪まではまだ半年ある。逆襲へ向け、“エアケイイズム”を注入したいところだ。