池江璃花子 2種目連続で世界派遣タイム届かず…周辺からは「オーバーワークなのでは」の声

2022年03月05日 05時15分

レース後のインタビューで涙をぬぐう池江(代表撮影)
レース後のインタビューで涙をぬぐう池江(代表撮影)

 見え隠れしていた兆候とは――。競泳の国際大会日本代表選手選考会3日目(4日、東京辰巳国際水泳場)、女子100メートル自由形決勝で東京五輪代表の池江璃花子(21=ルネサンス)は、54秒02で優勝したものの、世界選手権(6~7月、ブダペスト)の派遣標準記録(53秒96)に届かなかった。2024年パリ五輪へ厳しい現実に直面する中、かねて関係者から指摘されていた懸念材料があった。


 プールから上がると両手で顔を覆った。悔し涙が止まらなかった。2017年世界選手権以来となる個人種目での日本代表入りを目指したが、2日の50メートルバタフライに続き、またしても派遣標準記録に届かなかった。今大会に懸ける思いと相反する結果に「もう自分が情けなくて、去年から全く何も成長してないし、この1年間頑張ってきたのになんでだろう。今の自分にはネガティブな言葉しか出てこない、ごめんなさい」と肩を震わせた。

 19年2月に白血病を発症しながらも、20年8月に実戦復帰。昨夏には東京五輪に奇跡の出場を果たすと、パリ五輪での「メダル獲得」を目標に掲げた。大舞台へ向けて再スタートを切っていた中、競泳関係者からは「オーバーワークなのでは」との声もあった。実際、昨年10月の日本学生選手権(インカレ)で4日間で9レースをこなし、約1週間後の日本短水路選手権では2日間で10レースを泳ぎ抜いた。

 この過密日程ぶりに、ある競泳関係者は「インカレと短水路は泳いだ後にプールから上がれなくて、うずくまっている時間が長かった。私がコーチだったらここまで無理をさせない」と懸念を示していた。別の関係者によると、西崎勇コーチは出場種目を減らすように提案したものの、池江自身が最終決断を下したという。

 その背景には東京五輪が1年延期となった影響もある。あるコーチは「パリ五輪までに体力の強化などに費やせる最初の1年がなくなった」と指摘。基礎体力の向上に取り組む時間が通常のサイクルより短くなったため、技術力の向上も同時に進める必要に迫られているわけだ。それが焦りを生み、昨年のようなレース過多につながった可能性もある。2日のレース後には「気持ちが入り過ぎて空回りした」と思わず口にする場面もあった。

 長期的視野に立って28年ロサンゼルス五輪を最大目標にすることも考えられるが、本人の立場では、そう簡単に割り切れないだろう。最高のパフォーマンスを発揮するには何がベストな選択になるのだろうか。

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